(※写真はイメージです/PIXTA)

親が死去したあと、残された遺書が原因となり、親族間でトラブルに発展してしまうケースは多くあります。残された親族介助が必要である、持病を持っている等の事情を加味したとしても、実際に取り分が減ってしまった側としては、そう簡単に状況を飲み込めないでしょう。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、障害のある娘を持つ妹への遺留分侵害額請求について、佐々木一夫弁護士が解説します。

遺留分の時効に注意!まずは書面で意思表示を

遺留分には1年、10年、5年の3つの時効があります。これらの時効を徒過してしまうと、遺留分を請求できなくなってしまいますので、注意が必要です。

 

1年の時効

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始を知ったときから1年で時効により消滅します(民法1048条前段)。時効にかかってしまうと遺留分侵害額請求権を行使できなくなるおそれがあります。

 

この請求権を時効にかからせないために、次女に対し、内容証明郵便にて「遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する」との意思表示をしておく必要があります。この段階では具体的な請求金額が確定している必要はありません。“権利を行使することの意思”を明確にしておくことだけで足ります。

 

10年の時効

また、相続の開始があったことや自分の遺留分が侵害されていることを知らなかったとしても、相続が開始してから10年がたつと遺留分侵害額請求権は消滅してしまいます(民法1048条後段)。

 

5年の時効

遺留分侵害額請求をする意思を明確にしたあとであっても、そのまま具体的な請求をしないまま5年が経過すると、一般の債権の消滅時効により、請求ができなくなってしまいます(民法166条1項1号)。そのため、遺留分侵害額請求をしたあとは、速やかに遺産の総額を確定し、具体的な遺留分侵害額を算定したら、具体的な遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求したほうがよいでしょう。

 

遺留分侵害額請求を調停や裁判で請求するとなると、解決まで数ヵ月~1年単位の時間がかかってしまいます。姉妹関係が良好なのであれば、いきなり調停や裁判を申し立てるのではなく、まずは当事者間の話し合いでの解決を模索すべきでしょう。話し合いで次女から長女に支払われる具体的な金額が確定したら、その合意の内容について合意書を作成しておくべきです。

 

どのような合意書であれば後々にもめることなく解決できるのかなど、合意書の作成にあたっては専門家である弁護士に相談するとより安心です。

 

 

佐々木 一夫

弁護士法人アクロピース代表弁護士
遺産相続税理士法人アクロピース代表税理士
東京弁護士会・東京税理士会所属

 

明治大学法学部卒業、明治大学法科大学院修了、弁護士・税理士。相続と不動産を専門とし、10年以上法務と税務の両面から顧客の問題の解決に尽力している。モットーは「誰がなんと言おうとあなたの味方」である。

 

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