(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の申告や支払いは、遺産を受け継ぐ人にとって避けては通れない重要な手続きです。特に、「相続税は誰が払うのか」という点について、明確に理解していない人も少なくありません。相続税の支払い義務は、亡くなった方の財産を受け継いだ人に課されますが、すべての相続人が対象になるわけではありません。また、課税対象者の範囲や控除額の計算、申告期限など、複雑な要素が多いため、正確な理解が欠かせません。本記事では、相続税の基礎知識から申告・納税までの流れ、さらに相続税に関するよくある疑問とその解決策について詳しく解説します。

Q:支払った相続税が戻ってくることはありますか?

 

A:はい、あります。相続税を多く払いすぎていた場合、税金が戻ってくることを「相続税の還付」といいます。これは、申告時に誤りがあったり、適用できる減額要素を見落としていたりした場合に行われる手続きです。

 

還付を受けるためには、申告期限から5年以内に手続きを行う必要があります。相続税の申告内容に不安がある場合や還付ができるか確認したい場合は、相続に詳しい税理士に早めに相談することが大切です。

 

Q:遺産に現金や預金が少ない場合、相続税はどうやって支払えばいいですか?

 

A:相続税は基本的に現金で一度に支払いますが、現金が足りない場合には「延納」や「物納」といった方法が使えることがあります。

 

延納とは、不動産など現金以外の財産が多い場合、数年にわたって分割払いができる制度です。利息がかかり、支払い期間や利率は財産の種類によって異なります。

 

物納とは、延納でも支払えない場合、相続した不動産やその他の財産で支払う方法です。

 

延納や物納を申請するには、申請書や必要書類の提出、また延納の場合は担保が必要です。税務署に問い合わせて確認してみてください。

 

Q:相続税の申告を自分ですることはできますか?

 

A:はい、相続税申告を自分で行うことは可能です。

 

ただし、税理士のサポートを受けることで、遺産分割のアドバイスや手続きの透明性が確保され、申告がスムーズに進むため、悩んだ場合には税理士に依頼するとよいでしょう。

 

Q:相続税の申告相談は、税理士にいつ頃するのがよいですか?

 

A:早めに相談するのが理想です。早く相談することで、その後の手続きやスケジュールがスムーズに進みます。通常、被相続人が亡くなってから2から3ヵ月後に相談する人が多いです。

相続税を回避できるケースを考えてみよう

相続税は、相続財産が基礎控除額以下であれば支払う必要がありません。この基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×相続人の数)」で計算します。

 

また、「配偶者控除」という制度もあり、夫婦のどちらかが亡くなったとき、残された配偶者が相続する遺産が「1億6,000万円」または「法定相続分」までであれば相続税がかかりません。この制度を使えば、ほとんどの場合、配偶者には相続税が課されないでしょう。

二次相続に備えた相続税対策をチェック

二次相続とは、配偶者が亡くなった後に起きる相続のことをいいます。二次相続の際には相続税が一次相続よりも高くなることが多いため、早めの対策が大切です。ここでは、二次相続での相続税を抑えるための基本的な対策を紹介します。

 

1.配偶者に財産を多く残しすぎない

 

一次相続で配偶者が多くの財産を相続すると、二次相続時に相続税が高くなることがあります。配偶者に必要最低限の財産を残すように調整するとよいでしょう。

 

2.収益物件や値上がりが予想される資産は子供が相続

 

アパートや賃貸物件などの収益物件や、今後値上がりが期待される資産は、一次相続の際に子供に相続させると、二次相続での税負担を抑えることができます。

 

3.自宅の相続を工夫する

 

自宅を一次相続で配偶者が所有せず、同居している子供に相続させる方法もあります。また、配偶者に自宅の「居住権」だけを残し、所有権は子供に相続させる方法も検討できます。

 

4.生前贈与を活用する

 

配偶者が元気なうちに、子供や孫に少しずつ贈与することで、相続財産を減らすことができます。年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。

 

5.生命保険を活用する

 

生命保険に加入し、受取人を子供にしておけば、500万円×法定相続人の数までの保険金が非課税となるため、相続税を抑えることができます。

 

これらの対策を検討し、相続税の負担をできるだけ減らすようにしておきましょう。

 

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