相続税の納付方法と期限
相続税の申告や納税には期限があり、それに沿って手続きが必要です。
納付期限と申告手続きの流れをチェック
相続税の申告期限は、故人が亡くなった翌日から数えて10ヵ月以内です。例えば、1月6日に亡くなった場合、その年の11月6日が申告期限となります。この期限を過ぎると加算税や延滞税が課されるので注意が必要です。
相続税の申告書は、故人が亡くなった時点で住民票があった住所地を管轄する税務署に提出します。提出方法には以下の選択肢があります。
・電子申告(e-Tax)
・郵送
・税務署の収受箱へ投函
納税も申告と同じく、故人が亡くなってから10ヵ月以内です。申告を期限内にしても、納税を遅れると「延滞税」といった利息が発生する場合があるので注意しましょう。
納付方法の選び方とその種類
相続税の支払い方法は、状況や希望に合わせて選ぶことができます。ここでは、代表的な方法を紹介します。
・銀行・郵便局での支払い:納付書と現金を持参する方法。手数料がかからないが、平日のみ対応。
・税務署窓口での支払い:窓口で現金納付が可能だが、現金の持ち歩きには注意。
・クレジットカード納付:1,000万円未満の金額に対応。利便性は高いが手数料が発生します。
・コンビニ納付:30万円以下に対応。事前に税務署でバーコード付き納付書を用意する必要があります。
それぞれの方法には利便性や制約があるため、状況に応じて選択してください。
相続税をスムーズに支払うために知っておきたいこと
家族が亡くなった後、相続税をスムーズに支払うには、事前の準備や必要な手続きについて理解しておくことが大切です。
支払い資金はどう用意する?
家族が亡くなり、遺産がある程度の額を超えると、相続税を国に納める必要があります。しかし、相続税のための資金を事前に準備していないと、「税金が払えない!」という状況に陥ることもあります。
ここでは、相続税を払うための準備が不十分だった場合の対処法について紹介します。
遺産からの支払いと自分の資産活用法
相続した財産の中に価値のある不動産がある場合、その不動産を売ることで、売却代金を相続税の支払いに充てる方法があります。不動産売却時には譲渡所得税が発生する可能性がありますが、亡くなった人の死亡後3年10ヵ月以内に売ると軽減措置を受けられることがあります。
一方で、「故人の思いが詰まった不動産を売りたくない」と感じる場合もあるでしょう。そのような場合に備えて、事前に相続税を支払うための資金を貯めておく、また、いざというときは銀行などの金融機関からお金を借りることも選択肢になります。
「連帯納付義務」とは? 代表納付は可能?
相続税の「連帯納付義務」とは、他の相続人が相続税を払わなかったとき、残りの相続人がその分も払わなければならないルールです。つまり、誰かが払わないと、他の相続人が代わりに払う義務が発生します。
連帯納付義務があるのは、同じ被相続人から財産を相続した人たちです。もし相続人が相続税を納めなければ、他の相続人にその分を払う責任が移ります。ただし、相続を放棄すれば連帯納付義務はなくなります。相続放棄は、相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。
相続税は相続開始から10ヵ月以内に納める必要があります。この期限を過ぎると利息がかかります。さらに、納付が遅れれば、税務署から他の相続人へも納税の通知が届く可能性があります。こうなる前に、相続人間で協力し、支払いを円滑に進めることが重要です。
一方で、相続税をまとめて一人の相続人が支払っても問題ありません。銀行や税務署で納税手続きをする際、本人確認や委任状は求められないので、納付書をまとめて持参すれば、一括で支払えます。
ただ、相続税の立て替え払いには注意が必要です。あくまで一時的な立て替えであれば問題ありませんが、そのまま清算せずに放置すると「贈与」とみなされ、贈与税がかかる可能性があります。贈与税は年間110万円を超える金額に課されるため、立て替えた分は速やかに清算するようにしましょう。
期限後申告したらどうなる?
期限を過ぎて申告すると「期限後申告」となり、場合によって「無申告加算税」や「延滞税」といった罰金が課されることがあります。
また、財産を隠したり偽ったりすると、重加算税が課されます。税務署に見つかると、追加税額の35〜40%の重い罰金が発生するため、注意が必要です。
期限を過ぎてしまった場合でも、自主的に速やかに申告することで罰金を軽減できます。
災害時や特殊な状況での納付期限延長について
地震や台風などの災害時、国税庁が申告・納付期限を延長する場合があります。対象地域は官報で公表され、自動的に適用されます。

