ねえ、そろそろ出ていってくれない?〈59歳姉〉の提案に4歳年下の妹、激怒。89歳父が亡くなった途端、修羅場と化した〈不動産評価額6,000万円〉〈姉妹二世帯住宅〉の悲劇「こんなはずでは」【相続の専門家が解説】

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(※写真はイメージです/PIXTA)

きょうだい間でかつて暮らしていた実家を何とか残そうとする心意気は見上げたものですが、実際それに伴うストレスやトラブルが多いのも現実です。本記事では相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実家の相続に伴いトラブルとなった二つの事例における相続対策について詳しく解説します。

事例2:空き家の実家を兄妹で共有したことが不幸の始まり

夫の実家を相続

田中さん(52歳女性)は、5年前に急死した夫から、夫の実家の土地、建物を相続しました。夫は3人兄妹の長男で、弟と妹がいます。義父は20年前に他界しており、その後、義母は一人暮しをしてきました。

 

長男である夫をはじめ義弟、義妹も、両親と同居はしてきませんでしたので、義母が亡くなったとき、空き家になった実家は3人で3分の1ずつ相続しようという話に落ち着きました。その後、13年間、実家は空き家になっています。

 

実家は、義妹と二人で共有で

実家の一番近くに住んでいたのは次男です。次男は「実家は自分が買い取る」といい、田中さんの夫も義妹もそれに同意して準備を進めていたのですが、なんと次男が急逝。代わりに夫と義妹が次男分を買い取るようにしたことから、結果、夫の実家は、夫と義妹が2分の1ずつ所有する形となっていました。

 

今回、田中さんが相談に来られたのは、この共有に関することでした。夫が亡くなった5年前より、義妹と共有しているが、何事も義妹のペースで進められ自由度がない上に、空き家の維持にかなりの費用がかかるとのことで、負担が大きく、どのように対処すればよいかという旨のものです。

 

共有を解消するには

共有解消の方法は、①一緒に売却してお金を等分にする、②どちらかが一方の権利を買い取り単独にする、③土地を2つに分筆して単独にする、が想定され、このうちのいずれかが選択肢となります。

 

これまでは、夫の兄妹3人とも、誰かが所有して残してくれたらという気持ちで合意をしていたため、3人の共有がスタートしたのですが、いまや長男、次男が亡くなり、義妹だけになっています。

 

共有者の田中さんは長男の妻の立場で、実家で生まれ育った義妹とは明らかに気持ちの温度差があります。しかも、離れた立地に行くにも時間がかかり、固定資産税、光熱費、庭の手入れ代などの維持費も高く、大きな負担になっているといいます。

 

実家を売りたくない義妹

一緒に売却することが一番すっきりする方法ですが、義妹は自分の実家は売りたくないので、買い取るにしても、時価ではなく、路線価以下でないと了解しないと言っているようで、それでは田中さんも不本意なところです。

 

確認すると、夫の実家の土地は150坪で、十分な広さがあり、角地ですので、半分に分筆できる地形です。実家の建物は築50年と老朽化しているため、この際に解体し、土地を二つにわけて義妹と田中さんの単独名義にし、田中さんは売却するという方法もあります。

 

方法論はいずれでもいいので、共有解消する必要がありますが、何事も義妹との共有名義というところで、田中さんの一存ではなにも進みません。

 

第三者に交渉依頼を

円満な合意を導き出すことが理想ではありますが、状況によっては第三者に交渉を依頼することも致し方ないかもしれません。

 

まずは、田中さん自身が決断して義妹に共有解消を申し入れることをお勧めしましたが、義妹の反応次第で、弁護士がサポートする方法が必要だと言えます。

 

いずれにしても「空き家」の持ち出し状態で13年。収入面ではマイナスで負担しかない状態というのは、根本的な解決が急務でしょう。

 

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