息子を妹の養子にする
清美さんには3歳年下の妹がいますが、独身のままです。そのため、夫が亡くなった後は、息子を妹の養子にすることを考えています。そうすれば息子は夫の親族とも関係がなくなり、お墓を守る必要もありません。
息子に夫の家のお墓を守らせたくない、その考えを実現させるには妹の養子にすることが一番だと考えたのです。
しかし、養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2つがあります。
普通養子縁組と特別養子縁組
普通養子縁組とは、養子縁組の後も実の親子関係が存続する方法です。そして特別養子縁組とは、子どもの利益を考えたうえで特に必要であると判断された場合に限り行えます。
そして、普通養子縁組を行った場合、息子の姓は妹の姓になり、妹の財産は将来息子に渡ります。
息子は成人しているものの、小さい頃から母(清美さん)が祖母の家に行くたびに嫁いびりされていたのを見ていたので夫である父の実家のことは全く気にしていません。
夫は、家のことは多少気になるものの、兄との折り合いも悪く、家のことは兄に全部背負ってもらいたいと考えているようです。
結婚してそれぞれの親族が新しい家族となるという考えは、もう薄れつつあるのでしょうか。もちろん、お墓の問題だけでなく、相手の両親の介護をしたくないという理由で姻族関係終了届を提出する人もいます。
ただ、結婚して関わる人が増える以上、自分の考えだけで決められるものではありません。結婚相手の夫には全く不満がなくても、親族に不満を持つ人は多少なりともいるでしょう。
特に清美さんの場合は、夫よりも自分が先に亡くなった場合、自分の考えが夫に理解されなかったら、息子はそのまま夫の家の墓を守ることになってしまうのです。
相談された専門家は、結婚当時はそんなことまで考えることはなかっただろうと思いつつ、結婚相手の家族との関係を絶つ方法としてそこまで考えることに恐ろしさを感じずにはいられないと言っていました。
現在は、親族はもちろん、家族同士の関係も薄れつつある時代です。夫婦別姓が問われているなか、今後の日本の戸籍制度や家族の考え方がどのように変わっていくのかについて考えさせられる事例の一つといえそうです。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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