深刻さを増すIT人材不足
Zenkenが2024年9月に実施した、日本の中小企業の経営者を対象としたアンケート調査では、国内におけるIT人材不足の深刻さが改めて浮き彫りになった。本調査の目的は、日本の中小企業が抱えるIT人材の不足状況や、その対策について明らかにすることだった。調査は9月2〜3日にかけて行われ、サービス業、製造業、建設業、不動産業、小売業、卸売業、金融・保険業など、多様な業種から200件の有効回答が得られた。
調査結果によると、社内に「IT人材がいない」と回答した企業の比率は約7割に達した。これは前回調査(23年2月)とほぼ同じ比率で、大半の企業がIT人材不足に陥っていることが浮き彫りになった。
IT人材不足にどう対応しているかと聞いたところ、最も多かったのは「中途採用」で全体の3割を超えた。「定年延長・シニアの再雇用」も約1割に達した。IT人材の不足は深刻さを増しており、中小企業の経営者がその対応に試行錯誤していることがわかった。
中小企業はIT人材不足の実態に変化なし
アンケートで社内に「IT人材がいない」と答えた経営者の比率は69.5%と前回調査(70%)とほぼ同じだった(複数回答)。「IT人材が不足していると感じている」とした人の比率は39%と、前回調査(37.5%)よりやや上昇した。経済産業省は2030年に国内のIT人材が最大で79万人不足すると予想しているが、1年前と比べて企業の人材不足に大きな変化がないことがわかった。
中小企業の経営者に対してIT人材が不足していると感じる理由を尋ねたところ、最も多かったのは「IT人材を採用できないから」が51.3%で、その比率は前回調査(46.7%)に比べて上昇した(複数回答)。このほか、「IT人材の離職数が多いから」は9%で前回から微減。「ニュース等でIT人材が不足していると知ったから」も5%で微減だった。
IT人材不足への対応は
「IT人材不足にどう対応しているか」と尋ねたところ、最多は「中途採用」(32.5%)で、前回調査を7%ポイント上回った。次に多かったのは「新卒採用」(15%)で、前回調査を4%ポイント上回った。「人材紹介」と「リスキリング」が、それぞれ14%で続いた。リスキリングとの回答率は前回の31%から大幅に低下した。中小企業の経営者が「社内での教育では限界がある」として即戦力の採用を強化している可能性がある。
このほか、社員の紹介による「リファラル採用」も13%と高い比率を占めた。「定年延長・シニアの再雇用」も9.5%に達した。「外国人の採用」との回答は4.5%だった。中小企業が、IT人材の不足を定年延長などを含めた多くの手段を活用して補おうとしていることが浮き彫りになった。
本調査は、中小企業が直面するIT人材不足の深刻さを再確認させるものであり、企業が持続的な成長を目指すためには、さらなる人材確保と育成が不可欠であることを示している。今後の戦略として、柔軟な採用方法やリスキリングの強化がますます重要になるだろう。
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