「母の様子がおかしいんです…」急死した〈80歳父〉の遺産9,000万円を相続することになった家族。骨肉の相続争いを寸前で回避できた〈45歳長女〉のファインプレーとは?【相続の専門家が解説】

「母の様子がおかしいんです…」急死した〈80歳父〉の遺産9,000万円を相続することになった家族。骨肉の相続争いを寸前で回避できた〈45歳長女〉のファインプレーとは?【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

3ヶ月前に父親が急死した45歳の景子さん。母と兄の3人で相続の手続きをすることになったのですが、相続の話になると母親が何やら感情的になることが増えてきました。「このままでは家族がバラバラになってしまう」と危機感を感じた景子さんが相談に訪れました。本記事では、相続の代償金について、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

代償金は相続財産の中からでも払える

母親は、自分が自宅マンションを相続すると、2人の子どもたちに代償金を払い続けなければならないと理解しているといいます。しかし「そんなに払えるお金はない」というのが母親の本音なのです。

 

亡くなった父親の財産は次の通りです。相続評価3,000万円の自宅マンション、金融資産(預金2,000万円)、配当がある上場株4,000万円。不動産よりも金融資産のほうが多いのです。いずれにしても母親が自分のお金で代償金を払う必要がないのは明白です。それでも母親が「代償金」を払うことになるのは、「全財産を配偶者が相続する」として、いったん、すべての財産を相続する場合では、母親が子どもたちに「代償金を払う」という形を取るからです。

 

しかし、相続した財産の中に預金や株式などの金融資産があるので、自分のお金を出すことはなく、代償金が払える状況が見えています。

 

このような「代償金」についての説明をすると、ようやく母親も理解ができたようです。税理士の説明不足だったのか、母親の解釈が違ったのか、わかりませんが、「代償金」の決め方がネックになっていた遺産分割は進められることになり、母親の顔もパッと明るくなりました。私としては「よくぞ3人で相談に来てくれた」と景子さんに拍手を送りたくなりました。

遺産分割の注意点とアドバイス

あらためて遺産分割について、整理しておきましょう。

 

相続人が複数いるときは、「だれがどの財産を、いくらくらいの割合で相続するか」といった話し合いをして、財産の分け方を決めなければなりません。財産の分配を「遺産分割」といいます。最初に、相続人を確定し、財産を確定して、財産目録を作成します。遺言がある場合は優先しますが、ない場合は、相続人全員が納得すれば、どういうふうに分けてもかまいません。必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。

 

財産は、被相続人の死と同時に自動的に相続人に移転します。しかし、そのままでは、相続人達は、相続財産全体を共有財産として所有しているにすぎません。個々の財産を各相続人の所有とするためには「遺産分割」をして、名義を隔相続人のものに変える手続きが必要になります。遺産の分割には決まった期限はありませんが、相続税の申告までに遺産分割が決まらないと配偶者の税額軽減の特例が受けられないことがあり、そのころまでに分割しておいたほうがいいでしょう。

次ページ遺産分割の方法

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録