「あれ…?」久しぶりに訪れた実家に感じた、強烈な違和感
仕事と妻の両親の介護サポートに追われる鈴木さんだったが、海外暮らしの妹からの突然の電話で、父親の危機的状況を知る。
「妹は12時間近い時差のある国にいるため、ほとんど電話はしないのですが、土曜日の夜、いきなり電話をかけてきたのです」
鈴木さんの妹は父親の誕生日に電話をしたが、そのときの会話がまったくかみ合わず、様子がおかしいと感じ、兄である鈴木さんに連絡したのだった。
「お兄ちゃん、お父さんに電話をしたら、様子がおかしいの。私がだれかもよくわかってないみたいだし、全然話が成立しないの。様子を見に行ってあげて!」
「えっ、そうか? 先月も電話したけど、別にどうってことなかったような…」
「いいから、様子を見に行ってあげて!!」
鈴木さんの妹が〈絶対におかしい〉といい張ったため、鈴木さんは翌日、疲れた体を引きずって車を運転し、久しぶりに実家を訪れた。
「――あれ?」
門から玄関までのアプローチは膝の高さまで雑草が生い茂り、2階はすべて雨戸が閉まっている。門柱のインターフォンを鳴らしても応答がない。
「いないのかな?」
預かっているスペアキーで玄関を開けたとたん、脳を突き抜けるような悪臭が立ち込め、鈴木さんは思わず顔をしかめた。
「なんだ、このニオイは――!」