無駄を削ぎ落とした部屋、合理的な人間関係、そして積み上がる通帳の数字。“持たない生活”を謳歌していたCさんでしたが、「これでいいのか」と人生を見つめ直すことになった事件が勃発。そこで理解した「ミニマリズム」の本当の意味とは?

人付き合いも「もういらない」切り捨てた42歳女性

42歳のCさんは、都内の中小IT企業で働く独身女性。都心の家賃8万円のマンションにあるのは、仕事用のデスクとノートパソコン、あとは最低限の寝具だけ。「あふれるモノも無駄な人間関係も、ないほうがスッキリ気持ちいい」―― それがCさんのこだわりでした。

 

そんなCさん、かつては流行の服を追いかけ、週末は友人と飲み歩く日々でした。しかし、モノを買ったり友人と付き合ったりすることで、お金は出ていくばかり。そんな時にSNSや本を通して“ミニマリスト”のライフスタイルに出合い、「これだ」と思ったといいます。

 

モノも人間関係も極限まで整理。その結果、手取り月35万円の中から20万円近く貯蓄できるようになりました。

 

「賞与も合わせて5年で1,500万円以上貯まりました。それもミニマルな生活のおかげです」

 

同じく“持たない暮らし”をするネットの向こう側の人と共感し合いながら、賢い生き方をしていると確信していました。

叔母の孤独死に「未来の自分」を重ねた日

そんなCさんの価値観が揺らいだ事件が起きました。きっかけは、一人暮らしをしていた69歳の叔母(母の妹)の死です。

 

独身を貫き、自由気ままに暮らしていたはずの叔母。その最期は、自室での脳出血による孤独死でした。遺品整理のために母と初めて訪れた叔母の部屋でしたが、Cさんの部屋と同じようにごく最低限のモノだけが残されていました。

 

遺品整理をする側にとって、整理整頓された部屋はありがたいものでした。一方で、叔母の死を伝えるべき友人関係の連絡先も1つも残されていません。叔母らしい人生。それは間違いありません。しかし、Cさんの胸にはわずかな引っ掛かりが残ったといいます。

 

さらに、Cさんに災難が襲い掛かります。深夜、突然の激しい吐き気に襲われ、立ち上がることすらできなくなったのです。這うようにしてスマホを手に取りましたが、指が止まりました。

 

「助けて」と気軽に送れる相手が1人も思い浮かばないのです。きょうだいはおらず、実家とは3時間の距離。こんな夜中に電話をすれば大騒ぎになります。結局、自力で救急車を呼びましたが、病院のベッドで点滴を受けながら、こんな思いがこみ上げました。

 

「直接助け合ったり遠慮なく相談し合える相手がいない。これから年をとっていくなかで、1人だけで生き抜く覚悟が自分にあるのだろうか」――。

 

一人静かに亡くなった叔母の姿と、昔仲良くしていた友人たちを思い出したといいます。

 

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