『死』と『お金』に向き合わなければならない「相続」
今回の事例では生前の相続準備をきっかけに、人生の最期を迎える前に夫婦間でわだかまりが解け、納得できる相続対策ができた事例をお伝えしました。令和4年の司法統計によると、遺産分割調停事件の件数は1万4,371件となっており、亡くなった人の数が156万9,050人であることから、100件に1件程度の割合でトラブルが発生していることがわかります。
「死んだときの話をするなんて縁起でもない」「死んだあとのお金のことを考えるなんて……」と、『死』と『お金』の話題という、タブー視されているようなことが重なるのが相続の問題です。しかし、自分がこの世を去ったときに、誰にどうなってほしいのか、しっかり自分の想いを遺族に伝えないと、自分のせいで家族同士がもめて、最悪の場合、絶縁状態となってしまうようなトラブルが起きることもあります。
また、今回のように感情的になって「妻には財産は一銭も渡さない」と考えていても、家族でしっかり話をしてみることでお互いの考えを理解し、円満に、本当に納得できる相続対策ができることもあり、人生を終える前に心残りになっていたことが解決することもあります。
法律や税制が複雑に絡む問題で、それぞれの専門家が必要になる場面もあります。しかし、それ以前に、自分がどうしたいのか、人生の最期を迎える前になにをすべきなのか、しっかり自分と向き合い、家族と話したうえで対策することで本質的な満足を得ることができます。
人間はいつか必ずこの世を去るときがきます。そしてそれは、ひょっとしたら想定よりも若くしてそのときが来るかもしれません。そのときにどんな最期を迎えたいのか、家族にはどうあってほしいのか、いつかは必ず訪れるそのときに満足できる最期を迎えられるように、向き合ってみてはいかがでしょうか?
小川 洋平
FP相談ねっと
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