年収の壁に対する政府の取り組み
政府は上で紹介した年収の壁のうち、106万円の壁と130万円の壁について支援を強化する仕組みを取り入れています。
1. 106万円の壁について
106万円の壁とは、上で説明したとおり社会保険料の負担が発生するボーダーラインです。
年収が106万円以上になることで社会保険料の負担が発生するため、できるだけ残業を少なくする人も多く見られることから、政府は「社会保険適用促進手当の支給」や「基本給の増額」、「所定労働時間の延長」などの取り組みを行った企業に対し、労働者1人あたり最大50万円を助成するとしています。
2. 130万円の壁について
年収130万円の壁は、配偶者の社会保険の負担から外れるボーダーラインです。
そのため、繁忙期など収入が一時的に上がった場合でも、「事業主がその事を証明する」ことによって引き続き配偶者の扶養でいられる仕組みを作っています。
自分に一番合っている働き方を考える
年収の壁の内容を知ることで、税金や社会保険料の負担が発生することや、社会保険の扶養から外れてしまうボーダーラインが分かります。特に103万円の壁と130万円の壁については、世帯の手取りに大きく影響するところでもあり、年収をどのくらいに抑えるかの目安になるでしょう。
ただ、社会保険料の負担が発生するということは社会保険に加入することを意味するため、将来の年金額が上がるメリットも受けられます。
和美さんは専門家に相談し、考えた末、年収を130万円未満に抑えられるような働き方を選択しました。それなら配偶者特別控除も受けられますし、夫の社会保険の扶養のままでいられるメリットがあります。扶養から外れることによる自分で国民年金保険料を支払ったり、国民健康保険の被保険者になり、国民健康保険料を支払ったりすることを考えたうえでの決断です。
和美さんはまだこれからパートもしくはアルバイトを始める段階です。今後の夫の収入や、年収130万円を超えた場合の保険料の負担額、夫の収入に対する影響度などを考えながら、今後も最適な働き方を考えていく予定です。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
注目のセミナー情報
【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術
【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術
【国内不動産】11月21日(木)開催
金利上昇局面に対応!銀行からフルローンを引き出す
「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】