(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦のうち、どちらかがフルタイムで働いていても、もう一方はパートやアルバイトなどで収入を得、生活費を補塡する世帯もあります。その場合、フルタイムで働いているほうの扶養に入っておくほうが配偶者控除などを利用できるため、できるだけ扶養の範囲内の収入に収めることを意識している人も多いのではないでしょうか。国会でも、年収が一定額を超えると税金や社会保険料の支払いが必要となり、働き控えを招くことにつながる「年収の壁」をめぐり議論が活発化しています。本記事では、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、年収の壁の種類やそれに対する政府の取り組みについて事例とともに解説します。

3. 106万円の壁

106万円の壁は、所得税だけでなく、社会保険料の負担が発生するボーダーラインです。具体的には、以下の要件に当てはまる場合は、社会保険料の負担が発生します。

 

・1週間の労働時間が20時間以上である

・2ヶ月以上連続して勤務している

・1ヶ月の収入が88,000円以上である

・勤務している事業所の従業員数が51人以上である

・学生ではない

 

社会保険料は標準月額によって決まり、仮に1ヶ月の収入が88,000円となった場合には、健康保険料と厚生年金保険料の合計である12,443円が毎月徴収されます。40歳以上の場合は介護保険料も徴収されるため、注意が必要です。

 

4. 130万円の壁

130万円の壁は、配偶者の社会保険の扶養から外れてしまうボーダーラインです。配偶者の社会保険の扶養から外れてしまうと、自分で国民年金保険料および国民健康保険に加入しなければならず、健康保険証も家族とは別のものになってしまいます。

 

例えば、和美さんが130万円を稼いだ場合、毎月16,980円の国民年金保険料と年間99,600円の国民健康保険料を支払わなければなりません。その他、所得税や住民税も当然発生します。

 

5. 150万円の壁

150万円の壁とは、配偶者特別控除の額が減少しはじめるボーダーラインです。そのため、控除を受ける納税者本人の税負担が増えてしまいます。

 

また、配偶者特別控除の額は控除を受ける納税者本人の合計所得金額によっても異なりますので注意しておきましょう。

 

6. 201万円の壁

201万円の壁とは、配偶者特別控除の適用が受けられなくなるボーダーラインです。年収が201万円以上にあると配偶者特別控除が適用されません。

 

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