(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦のうち、どちらかがフルタイムで働いていても、もう一方はパートやアルバイトなどで収入を得、生活費を補塡する世帯もあります。その場合、フルタイムで働いているほうの扶養に入っておくほうが配偶者控除などを利用できるため、できるだけ扶養の範囲内の収入に収めることを意識している人も多いのではないでしょうか。国会でも、年収が一定額を超えると税金や社会保険料の支払いが必要となり、働き控えを招くことにつながる「年収の壁」をめぐり議論が活発化しています。本記事では、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、年収の壁の種類やそれに対する政府の取り組みについて事例とともに解説します。

収入によっては税金や社会保険料が発生!?パートやアルバイトはどのくらいまで抑えるべき?

47歳の和美さんには夫と2人の子どもがいます。子どもはそれぞれ大学進学そして高校進学を控えており、これから教育費が一番かかる時期でもあることから、昼間の時間をパートやアルバイトなどに充て、世帯の収入を増やそうと考えています。

 

夫の年収は約800万円ですが、住宅ローンの返済もまだ残っていることから、教育費の負担をできるだけ減らしたいと思っているのです。

 

ただ、パートやアルバイトで収入を得る場合、収入によっては和美さん本人に税金や社会保険料が発生すると聞き、どのくらいの年収に落ち着けるか悩んでいます。

年収の壁とは

一口に年収の壁といってもその内容はさまざまで、以下の6つに分けられます。ここではそれぞれの年収の壁の内容について解説します。

 

1. 100万円の壁

100万円の壁とは、所得税および住民税が課税されないボーダーラインです。なぜなら、給与を受け取った場合、年間に受け取った給与から給与所得控除が受けられるからです。

 

所得控除額の最低額は55万円です。100万円から55万円を差し引く残りは45万円となり、所得控除額の最低額は55万円です。100万円から55万円を差し引く残りは45万円となり、住民税の所得割および均等割ともに非課税になります。もちろん、所得税もかかりません。

 

しかし、年収が101万円になると、101万円-55万円-43万円(住民税の基礎控除額)=3万円に対して住民税がかかります。

 

住民税は所得に10%を乗じて求める所得割と、所得に関係なく課される均等割があり、均等割額は多くの自治体で5,000円もしくは5,500円と決められています。

 

仮に均等割額を5,000円とした場合、和美さんが支払う住民税額は30,000円×10%+5,000円=8,000円です。

 

そのため、配偶者控除の適用を受けたい場合や、所得税だけでなく住民税の負担もなくしたいと考える人は年間の給与収入を100万円以下に抑える必要があります。ただ、自治体によっては課税対象になるケースもありますので、事前に確認しておきましょう。

 

2. 103万円の壁

年収の壁として1番よく聞くのがこの103万円の壁ではないでしょうか? 103万円の壁とは、所得税が発生するボーダーラインを指します。

 

例えば、年収が103万円あったとして、所得控除額55万円を差し引くと48万円です。所得税における基礎控除額は48万円のため、年収が103万円以上になってしまうと所得税が発生します。

 

また年収が103万円を超えると、配偶者控除の適用を受けられなくなってしまいます。ただし、配偶者特別控除は適用されます。

 

例えば、和美さんが104万円パートで稼いだ場合(月収約86,000円)、課税所得金額は1万円です。それに対する所得税率は5%ですので、和美さんは500円の所得税を払わなければなりません。また年収が104万円の場合の住民税は11,000円です。

 

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