45歳で結婚、46歳で待望の男の子を授かった男性の苦悩
飯塚直樹さん(仮名)は、関連会社に勤めていた4歳年下の香織さんと45歳で結婚。1年後に子ども(大成くん)を授かりました。いわゆる「晩婚」家庭です。
少し遅い春ではありましたが、幸せに暮らす日々。それから20年、直樹さんは65歳、香織さんは61歳になりました。ともに60歳を過ぎた今、大きく頭を悩ませていること。それは、息子・大成くんにかかる教育費のことです。
直樹さんは60歳で定年を迎えました。その後、65歳まで嘱託勤務を続け、現在はアルバイトと年金で毎月20万円の収入。香織さんの手取りも20万円で、世帯収入は合わせて月40万円、年間480万円です。
この収入があれば、一見問題なく生活できそうに思えるかもしれません。しかし、息子の大成くんは19歳の大学2年生。去年、都内の私立大学に進学したことが、想像以上に家計の負担になっているといいます。
息子が進学したのは「県外の私立大」…重たい教育費の負担
大成くんの大学進学にかかった費用は、入学金が約25万円。授業料が年間約100万円。合わせて施設設備費などを支払わなければならず、約150万円の支出でした。それまでの塾代や参考書代、受験費用なども考えると、大学関連費用での支出は約250万円にものぼります。
さらに、大成くんは地元を出て一人暮らしをしているため、家賃や生活費も必要です。直樹さん夫婦からの仕送りは月4万円、残りは奨学金(月6万4,000円)とアルバイトで賄っています。
そもそも、大成くんの進学前に直樹さんのリタイアは分かっていましたし、60歳を過ぎて嘱託になった時点で収入が減っている状況でした。しかし、家族で暮らしている県内には大成くんが希望する学部がなく、大成くん自身が「奨学金とアルバイトで自分も頑張るから」と約束したうえでの都心への進学だったといいます。
しかし、生活は想像以上に大変でした。家賃6万円、光熱費1万円、食費や日用品、通信費、交通費、その他の費用……。仕送りと奨学金を合わせて10万円ほどではもちろん足りません。
「実際に暮らしてみると、お金がなくて本当にキツイです。大学1年・2年は履修も多く、思ったようにバイトもできなくて。それでも飲食店のバイトで賄いを食べて食費を浮かしたりしていますが……。おしゃれして遊んでいる同年代を見ると、別世界に見えます」
大成くん自身、親の年齢や家計の状況について、決して余裕があるわけではないとわかっている以上、それ以上の仕送りを求めることもできないといいます。
一方の直樹さん夫婦も、自分たちの生活と息子の教育費の狭間で苦悩しています。60歳で受け取った退職金も住宅ローンの繰り上げ返済や生活費、教育費でどんどんなくなり、手元には1,000万円もありません。
「仕送り額が少ないといわれるかもしれませんが、私自身はもう老後に突入しています。現状、世帯収入40万円から住宅ローン10万円、仕送り4万円を差し引くと、残り26万円で生活費や医療費なんかを考えると、現時点では貯金は難しい。卒業までは年100万円の授業料の支払いもある。これ以上の仕送りをして自分たちの手元にお金がなくなれば、むしろ将来息子に迷惑をかけることになりかねない。本当に悩ましいです」
