保険料の理解把握は満足度醸成に重要
自動車保険料の高騰はここ数年業界でも大きな話題の一つである。当調査でも、直近の更新/切替時において自動車保険料が「高くなった」と回答する人の割合は、代理店系では4割(前年比+8ポイント)、ダイレクト系でも3割超(前年同水準)であった。
保険料の高額化の理由としては、保障の拡大、車両入替や等級の引き下げといった契約者意向によるものもあるが、物価上昇による修理費用の高額化、事故や自然災害の増加などといった純保険料率の増加に起因する要因もある。
本年より保険料の変化に対して理解度を問う設問を追加しているが、保険料の変更理由を理解している人(理解している+ある程度は理解している)は、理解していない人に比べて価格に対する満足度は40ポイント以上高いことが確認されており、自動車保険会社は契約者への保険料に対する理解を促す努力が求められると言える。
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門常務執行役員 梅澤希一のコメント
「大手中古車販売会社による保険金不正請求問題や保険料高騰が騒がれた過去1年の中、業界全体の顧客満足度とロイヤルティが横ばい圏内の動きにとどまったことは予想外の結果であった。事故対応経験者以外では保険金不正請求問題は各顧客への影響が見えにくかったことがあるほか、保険料高騰も全般的な物価高騰の中で顧客が背景を理解しやすかったことが一因と考えられる。
一方、ブランドイメージについては代理店系とダイレクト系では明確な違いが見られ、代理店系よりダイレクト系のほうが良いイメージであることが確認された。こうした背景には、損害保険大手会社で保険金不正請求問題や企業向けの保険料を事前調整していたカルテルの問題などが大きく取り上げられたことがあるものと考えられる。足許では商慣行の見直しなどビジネスの健全化の必要性が叫ばれているが、各社は顧客にとって公平公正で信頼性があるかという顧客本位の姿勢で全ての商慣習をゼロベースで見直すことが強く求められていると言える。」
J.D. パワー2024年自動車保険契約者満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記のとおり。
【代理店系保険会社部門】(対象5社)
第1位:AIG損保(659ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「契約内容/契約手続き」、「価格」、「顧客対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:東京海上日動(654ポイント)
「保険証券」ファクターで最高評価。
第3位:損保ジャパン(641ポイント)
「事故対応/保険金支払」ファクターで最高評価。
【ダイレクト系保険会社部門】(対象7社)
第1位:ソニー損保(697ポイント)
8年連続の総合満足度第1位。「契約内容/契約手続き」、「事故対応/保険金支払」、「顧客対応」、「保険証券」の4ファクターで最高評価。
第2位:チューリッヒ(679ポイント)
「価格」ファクターで最高評価。
第3位:三井ダイレクト損保(671ポイント)