相続税申告で書面添付制度を利用するメリット
相続税申告において税理士が書面添付制度を利用すると、依頼者である相続人には様々なメリットがあります。
1.税務調査が行われる確率が低くなる
2.税理士への意見聴取だけで済む可能性がある
3.申告漏れがあっても加算税は課せられない
書面添付制度を利用して相続税申告をした場合の、メリットについて詳しく解説します。
1.税務調査が行われる確率が低くなる
誤解をしないで頂きたいのですが、「税理士が書面添付制度を利用するだけで、税務調査が行われる確率が低くなる」といった単純なものではありません。
正確には、書面添付制度を利用するために「税理士がしっかりと検討・判断して申告書類を作成すること」が、税務調査が行われる確率を下げる一番の要因です。
国税庁の「令和元事務年度における相続税の調査などの状況」によると令和元事務年度には10,635件の実地調査が行われ、国税庁「平成30年分相続税の申告事績の概要」によると平成30年分に相続税申告の提出に係る被相続人の人数は116,341人と発表されています(相続発生の翌年に調査があったと想定)。
概算となりますが、全国におけるすべての相続税申告案件において、税務調査が行われる確率はおおよそ10.9%です(ご自身で行った申告等も含む)。
一旦税務調査になると、税務調査官が相続人の自宅にやってきて丸1日、質問調査を受けることもありますので、その精神的な負担は決して小さくありません。
税理士が責任を持って書面添付制度を利用することで、税務調査が行われる確率が低くなるのは、相続人にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。
2.税理士への意見聴取だけで済む可能性がある
税理士が書面添付制度を利用して相続税申告をし、税務署側に疑問があった場合、「税務調査を行うか否か」を判断するため、口頭(電話)で税理士への意見聴取が行われます。
意見聴取の時点で税務署の疑問が解消されれば税務調査が省略され、疑問点が解消されなかった場合のみ税務調査が行われます。
この意見聴取は、税務署の不明点を税理士に対して聞くことが目的のため、相続人が立ち会う必要はありません。
書面添付制度を利用せずに税理士が相続税申告をした場合や、税理士に依頼せずに自分で相続税申告をした場合では、税務調査が行われるまでにこれほどの差があります。
税理士が書面添付制度を利用して相続税申告をすれば、ある日突然税務調査が行われることはありません。
税理士への意見聴取だけで税務調査を回避できる可能性があるというのは、依頼主である相続人にとって大きなメリットといえるでしょう。
3.申告漏れがあっても加算税は課せられない
書面添付制度を利用して相続税申告をし、税理士に対する意見聴取の段階で申告漏れが発覚したとしましょう。
この場合、税務調査に入られる前に修正申告をすれば、申告漏れ財産に係る相続税は納税しなければなりませんが、原則「加算税」は課せられません。
通常、相続税申告を行って税務調査で申告漏れを指摘された場合、申告漏れ財産に対する相続税だけではなく、「過少申告加算税(税率10~15%)」が課せられます。
たとえば、税務調査で1,000万円の申告漏れ財産が見つかって、追加で100万円の相続税の納税が必要になった場合、この100万円とは別に、過少申告加算税として15万円が課せられます。
ただ、税理士が書面添付制度を利用して相続税申告していれば、この15万円は免除されるということです。
申告漏れ財産の価額が大きくても、加算税が課せられないという特典は同様ですので、納税者である相続人にとっては非常に大きなメリットとなります。
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