満足度の低下が見られたチャットサポート
コールセンターの満足度は上昇傾向にある一方、オンラインサポート*2の満足度は、前年から-12ポイントの低下となり、特に「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」で-29ポイント、「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」で-15ポイントと、チャットサポートで満足度の低下が見られた。
本調査では、問い合わせ用件の解決に要した労力を聴取し、労力レベルを高負担、中負担、低負担に分類しているが*3、有人チャット利用者では「高負担」と感じた割合が前年比で5ポイント増加した。
有人チャット利用時の経験では「回答や説明がわかりやすかった」、「問い合わせの内容はすぐに理解された」、「あなたの用件に対して十分な知識をもって説明していた」といった項目を中心に低下が見られ、オペレーターとのコミュニケーションのなかで手間取ったことが、負担感の増加、満足度の低下につながったと考えられる。
また、AIチャットボットは負担感に大きな変化は見られなかったものの、利用時の経験では「何回も質問を入力せずに、目的の用件に合った問い合わせ内容の選択肢が提示された」、「あなたの知識や理解度にあった回答となっていた」、「提示された回答の情報量は十分だった」と回答した割合が前年より減少しており、目的の用件に合った選択肢が示されにくいことや、情報量が不十分であることが、AIチャットボット利用における満足度の低下に影響したと考えられる。
本年調査より、次回の問い合わせ時に優先的に利用したいチャネルと、そのチャネルを選択した理由を聴取しているが、コールセンターは「的確な回答を得ることができるから」、有人チャットは「手軽に/気軽に利用できるから」、AIチャットボットは「利用したい時間帯/タイミングで利用できるから」(いずれも47%)が最も多く、それぞれのチャネルを選択する理由には違いが見られた。
有人チャットは、メッセンジャーアプリ同様にテキスト形式で気軽に利用できることが利点である一方、用件解決にあたりオペレーターとのコミュニケーションに負担感が感じられると、その魅力が薄れる可能性がある。
また、AIチャットボットは時間帯を問わず、手軽に対話形式で回答を得られるという利点があるものの、検索精度が向上されないことでその利点が活かされない可能性もある。
有人チャットとAIチャットボットは、今後も企業における導入率が高まっていくと想定されるが、これらのサポート機能の改善がユーザーの利用拡大につながり、コールセンターの負荷軽減と各企業のカスタマーセンターサポート満足度向上に重要な役割を果たしていくと考えられる。
*2「オペレーターによるチャットサポート」、「自動応答によるチャットサポート」、「メール問い合わせ/問い合わせフォーム」、「FAQページ」。
*3高負担は「非常に労力がかかった」と「労力がかかった」の合計、中負担は「やや労力がかかった」と「どちらともいえない」と「あまり労力はかからなかった」の合計、低負担は「労力はかからなかった」と「全く労力はかからなかった」の合計。