未来編:将来への夢、展望を持てる場か?
第3のポイントは「未来」です。「選択しようとしている転職先企業は、将来への夢、展望を持てる場か?」
ミドルやシニアの皆さんの転職支援時に、当社では必ず「〇〇さんは、そもそも今後、仕事上でどのようなことを実現、達成したいですか?」と尋ねます。一見簡単な、当たり前の質問に見えると思うのですが、これがなかなかどうして、10人に尋ねて、揺るぎなく明快に即答できる人は2、3人という感じです。
「う~ん、そうですね。上司を見ていると、50代で部長か本部長ですから、自分もそれくらいは」「いずれ起業してみたいという気持ちはあります」「60代、できれば70代に入っても現役で働きたいとは思ってるのですが」。このような感じの、漠としたイメージが多くの場合は返ってきます。
これ自体を否定するものではありませんが、エグゼクティブとしてこれからの5年、10年を最前線で活躍されていきたいとすれば、「世の中に、市場にどのようなことを提供していきたい」「企業、事業、組織にこのような具体的貢献をしていくことで、これこれを成し遂げてみたい」というような、「外部に対して」と「内部に対して」のそれぞれに関して具体的に提供、貢献したい、自分なりのビジョンや展望、夢をしっかり描いて携えておきたいものです。
その将来展望や夢を、転職先ですぐにかなえる必要はありませんが、中期・中長期ビジョンをしっかり持てている転職と、それ抜きに漠然と目先や条件だけ見て転職するのでは、その後のキャリア展開に天と地の差が開きます。
自分の行き先、進む道をしっかり切り開いていけるか、その場任せで流されていくかでは、前者と後者のキャリア可能性は乗数的に乖離していくこととなります。
「市場価値のある人材」として今後も進むためにも、目の前だけでなく、しっかりと中長期的展望や仕事上の夢を持っての転職先選択をしてください。
「現在・過去・未来」で実り多いスタートに
季節や年の変わり目での転職は、それだけで気持ちの入れ替えになる部分もあります。ただ、単に新しい年にリフレッシュ、リスタートしたとしても、本質的な課題・問題・テーマがクリアされていなければ、転職先で早晩「こんなはずではなかった……」「またか……」となってしまうのもまた事実。
せっかくの「心機一転転職」を実り多きスタートとするためにも、今回紹介した「現在・過去・未来」についての3点に関する検討は必ず済ませたうえで、転職先を選択してほしいと思います。
井上 和幸
株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
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