転職活動に積極的に取り組むことは決して悪いことではありません。しかし、多くの内定を得ようと求人に片っ端からエントリーするような「猪突猛進型」のアプローチは非常に危険です。本記事では、株式会社経営者JPの代表取締役・CEOの井上和幸氏が、エグゼクティブ転職において「多数内定獲得」を目指すことがなぜ危険なのか、その理由を詳しく解説します。
求人案件への「猪突猛進型」エントリーがなぜ問題なのか?
人材エージェントから紹介された案件に片っ端からエントリーする人。転職サイトで検索で出てきた案件に片っ端からエントリーする人。一見、アクティブに転職活動をしているように見えます(ご本人がそう思っていらっしゃいます)。
実際、こうした活動を進めている人材エージェントが存在していることも認知していますが、率直に申し上げて、そのようなエージェントには気をつけたほうがよい。業界素人か、あるいはこれから述べるような危険にあえて皆さんを陥れようとしている可能性もあります。
通常の心ある専門性の高い人材エージェントが皆さんからの案件エントリーを通じて感じることは、大きく次の2つに分かれます。
「このかたが、今回、この案件にご興味をお持ちになるのは、なるほどきっとこのご経験を活かして、今後、このようなことをされたいのだろうな」
「うーん、このかた、これまでのご経験やご専門をみるに、この辺りが主戦場でいらっしゃると思うのだけれど、今回、なぜこの案件に応募されているのだろう?」
私たちがお会いすることになるのは、前者の方々です。
後者の方々には、お力添えしたい気持ちはあれども、どうして差し上げればよいかわかりかねる。また、ご検討頂くべきポジションはこれこれの類だと思うのだが、あいにくそれに該当する案件は現在、当社の手持ちにはないので、お時間を頂いても具体的に進めていくお話ができない。こうした理由で、ご面談を差し控えることが多くなります。
特に困ったな、と感じるのは、脈絡なく様々な求人案件に多数同時に応募してこられるかたです。
これが私たちにどう映るかといいますと、何をされたいかや、ご自身のお力の活かしどころを自覚できていないのではないか。深く考えて転職活動されていらっしゃらないのではないか。焦って「どこでもよいから移りたい」となってしまっているのではないか。こうしたかたに見えてしまうのです。
もちろん転職活動においては、様々な案件を検討してみることが大事です。しかし、そこにはあなたのこれまでのキャリアとの接合点が必要であり、また、今後どうされたいのかについての一貫性が重要です。特に組織や事業を背負う幹部・管理職の皆さんですので、当然、企業側は一般職以上にこの部分について着目しています。
「とにかくアプローチしないと」と、業種、業界のみならず職種、職責もかなりバラバラの求人に片っ端からエントリーする、<下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる型>の応募は、ご本人の気持ちとはおそらく裏腹に、百害あって一利なしです。
こうした典型的な「転職活動を一生懸命にしているつもり症候群」は、企業側からすると「なぜ?」「できるの?」の嵐。結果、エントリー全滅に……。
応募総数=転職活動度合い、ではないということを認識頂ければと思います。
<経験・専門性>と<今後の志向、希望>でしっかり応募先を絞り、想いのこもったエントリーを重ねましょう。それだけで、エージェントや企業からの反応が変わると思います。
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株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
株式会社 経営者JP
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連載相談実績2万名超の経営人材コンサルタント直伝!“エグゼクティブ転職”成功マニュアル