1,000万円支払え!…父の死後、不平等な遺言書に腹を立てた弟からの「遺留分請求」。兄が絶対にやってはいけない「2つの対応」【弁護士が解説】

1,000万円支払え!…父の死後、不平等な遺言書に腹を立てた弟からの「遺留分請求」。兄が絶対にやってはいけない「2つの対応」【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺留分を侵害する生前贈与や遺贈を受けた場合、相続発生後に遺留分を請求される可能性があります。では、遺留分を請求されたら、どうすればよいのでしょうか? 本記事では、遺留分を侵害された場合の対応について、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

遺留分を請求されたら…やってはいけない対応

遺留分を請求された場合に避けるべきなのは、どのような対応なのでしょうか? ここでは、避けたほうがよい対応を2つ紹介します。

 

1.請求を放置する

遺留分権利者から遺留分侵害額請求をされた場合に、請求を無視して放置することはお勧めできません。なぜなら、遺留分の権利は、放置したからといって消滅するものではないためです。遺留分権利者が期限内に遺留分侵害額請求をした時点で、すでに請求の効果は生じています。

 

そのため、請求を放置した場合は、相手方から遺留分侵害額請求調停や遺留分侵害額請求訴訟を申し立てられ、問題が大きくなったり長期化したりする可能性が高くなります。調停とは、裁判所で行う話し合いです。話し合いといっても当事者同士が直接対峙するのではなく、調停委員が当事者双方から交互に意見を聞く形で進行します。

 

調停がまとまらず訴訟に移行すると、裁判所が請求の妥当性や遺留分侵害額として支払うべき金額を決定します。なお、万が一これらにも一切対応しなかった場合は、裁判所が妥当と判断した遺留分侵害額について、相手が裁判所に申立てを行えば、強制執行がなされることとなります。

 

2.確認しないまま相手の言い値で支払う

遺留分侵害額請求がされた場合、請求されたままに相手方の言い値で支払うことは避けたほうがよいでしょう。なぜなら、遺留分権利者からの請求額は、遺留分権利者にとって有利となるように計算されていることが多いためです。特に不動産は「一物四価」などといわれ、1つの不動産にいくつもの評価額が存在します。たとえば、土地だけでも主に次の価格があります。

 

実勢価格:売買する際の価額

公示価格:国土交通省から毎年公表される土地取引の目安額

相続税評価額:相続税や贈与税を算定する際に用いる価額。公示価格の8割程度となることが多い

固定資産税評価額:固定資産税を算定する際の評価額。公示価格の7割程度となることが多い

 

遺留分侵害額請求をする側は、不動産をできるだけ高く評価したほうが得であるため、実勢価格や公示価格による評価で遺留分を算定することが多いといえます。一方、遺留分侵害額請求をする側は、不動産をすぐに売るわけではないことも多く、相続税評価額などできるだけ低い価格で評価してほしいと考えるでしょう。

 

このように、遺留分額には計算方法によって幅があるため、遺留分権利者側から請求された額をそのまま支払うと、遺留分を多く払いすぎてしまう可能性があります。そのため、請求額を支払う前に弁護士へ相談し、相手からの請求額が適正であるかどうか確認することをお勧めします。
 

 

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