1,000万円支払え!…父の死後、不平等な遺言書に腹を立てた弟からの「遺留分請求」。兄が絶対にやってはいけない「2つの対応」【弁護士が解説】

1,000万円支払え!…父の死後、不平等な遺言書に腹を立てた弟からの「遺留分請求」。兄が絶対にやってはいけない「2つの対応」【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺留分を侵害する生前贈与や遺贈を受けた場合、相続発生後に遺留分を請求される可能性があります。では、遺留分を請求されたら、どうすればよいのでしょうか? 本記事では、遺留分を侵害された場合の対応について、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

遺留分請求されたらすぐに確認!3つのポイント

遺留分を請求されたら、まずは確認すべきポイントがあります。ここでは、特に慎重に確認すべき3つのポイントを解説します。自分で判断することが難しい場合は、弁護士へ相談することをお勧めします。

 

1.請求者は本当に遺留分権利者か

1つ目は、相手が遺留分権利者であるかどうかです。遺留分は、相続人である次の者だけが有する権利です。

 

・被相続人の配偶者

・被相続人の子ども、孫など直系卑属

・被相続人の父母、祖父母など直系尊属

 

一方で、次の者には遺留分はありません。

 

・被相続人の兄弟姉妹や甥姪

・相続人ではない者

 

まとめると、遺留分のない者とは、たとえば次の者などです。

 

・被相続人の兄弟姉妹、甥姪(相続人であってもなくても、遺留分はない)

・相続人ではない者

ー長男が相続人である場合の、長男の子ども(被相続人の孫)

ー被相続人の子どもが相続人である場合の、被相続人の親

ー内縁の配偶者

ー相続放棄をした者

ー遺言書を偽造したなど、相続欠格に該当した者

ー被相続人を虐待するなどして相続人から廃除された者

 

「遺留分を支払え」と主張している者がそもそも遺留分権利者でないのであれば、遺留分を支払う必要はありません。そのため、遺留分侵害額請求をされたら、まず相手が本当に遺留分権利者であるかどうかを確認することが必要です。

 

2.期限内の請求であるか

2つ目は、期限内の請求であるかどうかです。遺留分侵害額請求は、被相続人の死亡と遺留分を侵害されている事実を知ってから1年以内に行使しなければなりません。また、被相続人の死亡などを知らないまま年月が経ったとしても、相続開始から10年が経つと遺留分の権利は消滅します。そのため、この期間を過ぎてからなされた遺留分侵害額請求には応じる必要はありません。

 

なお、請求者側は、期限内に請求したことの証拠を残すため、遺留分侵害額請求は内容証明郵便を用いて行うことが一般的です。

 

3.請求額は適切か

3つ目は、請求額が適切であるかどうかです。各相続人の遺留分額は、次の式で算定します。

 

遺留分額=遺留分計算の基礎となる財産×遺留分割合

 

遺留分割合は原則として2分の1であり、これに法定相続分を乗じて各相続人の遺留分割合を算定します。ただし、相続人が被相続人の父母など直系尊属だけである場合は、遺留分割合は例外的に3分の1となります。遺留分割合は機械的に算定できるため、この点が問題となることはほとんどないでしょう。

 

一方で、遺留分割合を乗じる「遺留分計算の基礎となる金額」については、意見が相違することが少なくありません。たとえば、次の点などで齟齬が生じる可能性があります。

 

・不動産の評価額

・生前贈与など特別受益の有無や金額

 

これらについてはどこかの時点で妥協するほかなく、双方が自身の利益を最大化しようとする場合に、当事者間で交渉をまとめることは困難です。意見がまとまらない場合や直接交渉することに不安がある場合は、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

 

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