遺族年金ゼロ?そんなバカな……年下夫を襲った二重の悲劇
会社員の佐藤さん(仮名)は53歳。よく行く飲食店で知り合った13歳年上の妻と「年の差婚」をしました。妻は年金暮らしとなり、佐藤さんは飲食店で働いています。
結婚当初はその年の差から周囲に心配されることもあったという2人。しかし、精神的に頼れる妻とは仲睦まじく、共通の趣味である野球観戦に時折出かけるなど、ささやかながらも楽しく暮らしていました。
しかし、ある日妻が急性心筋梗塞で倒れ、突然の別れが訪れます。かなりの年上女房とはいえ「女性は長生き」と考えていた佐藤さんにとっては青天の霹靂です。呆然としながらも周囲の助けもあってなんとか葬儀を済ませた佐藤さん。その際、友人から遺族年金について手続きするよう助言を受けました。
「遺族年金か……。確かにお金のことはちゃんとしなきゃな。これまで何でも妻に頼っていたから、うっかりもらい損ねるところだった」
友人に感謝しつつ、さっそく手続きに赴いた佐藤さんを衝撃の事実が襲います。なんと佐藤さんは遺族年金の対象ではないというのです。
前述のとおり、遺族基礎年金の対象になるのは「18歳未満の子がいる配偶者または18歳未満の子ども」。また、遺族厚生年金の対象になるのは「妻と18歳未満の子ども、そして妻が亡くなった時の年齢が55歳以上の夫」です。
子どもはおらず、現在53歳。どちらの要件も満たさない佐藤さんは、受け取れる年金がないという事実が判明したのでした。
妻が生きている時に受け取っていた年金は年160万円程度。一方で、販売員として現役で働く佐藤さんの年収は300万円前後です。世帯で460万円でやりくりしていましたが、突然大幅な収入減の憂き目にあった佐藤さん。
1人暮らしになったからといって2人暮らしの時の半分で生活費が済むわけではありません。佐藤さんは一層切り詰めながら生活しなければと、家計の見直しを始めたそうですが……。
「妻も失って遺族年金もなしとは、血も涙もないな」。思わず心の中でつぶやいたそうです。
遺族年金がいくらもらえるか確認し、必要な備えを
このように遺族年金は妻と夫、立場が違うと受け取れる金額などが変わるのが特徴です。特に夫への遺族保障は十分ではないというのが実情。これは「男性は働き女性は家庭を支える」という古い時代の制度を引きずっているためで、男女差を解消するための見直しも検討されています。
とはいえ、遺族年金については「思ったより受け取れる金額が少なかった」と感じることが多いようで、もしもの時にこの年金だけに頼ろうとするのは危険です。
自分たちの世帯ではいくら受給できるのか確認し、不足するのであれば貯金をしておく、死亡保険をかけておくなどきちんと備えておかなければ生活が立ちゆかなくなる可能性もあります。いざという時に困ることのないよう、早めに準備をしておいたほうがよさそうです。
参考:日本年金機構「遺族年金(受給要件・対象者・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/index.html
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