Amazonやユニクロに潜入したジャーナリストが「潜入取材」にこだわるワケと女性記者に真っ先に潜入してほしいと願う〈ある業界〉とは?

Amazonやユニクロに潜入したジャーナリストが「潜入取材」にこだわるワケと女性記者に真っ先に潜入してほしいと願う〈ある業界〉とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

「私には夢がある。それは、いつの日か、日本に潜入記者が10人、いや100人生まれることだ」と話すのは、ユニクロ、アマゾン、ヤマト運輸、佐川急便からトランプ信者の団体まで名だたる大企業・団体に潜入してきたジャーナリストの横田増生氏。横田氏が潜入取材にこだわるワケとは? 著書『潜入取材、全手法』(角川新書)から一部を抜粋・再編集して、お届けします。

ウソをつかずに「本名」で潜入取材する方法

顔バレすることはないが、このように、名前を検索されると一発でアウトになる。ところが、もし私がペンネームで書いていれば、本名と潜入取材がつながることなく、自民党陣営に潜り込めていたはずだ。

 

もしあなたが、これからのジャーナリスト人生において潜入取材を多用したいと考えるなら、ペンネームで書きはじめることを強く勧める。そうすれば、潜入時にあなたの意図に気づかれることなく、取材に邁進できるだろう。

 

潜入取材といえば、男性ジャーナリストが貧民窟やドヤ街に潜り込み社会の矛盾を暴くといったイメージがあるかもしれない。たしかにそれは一面で正しい。明治時代の『最暗黒の東京』や『日本の下層社会』などがその代表例だ。

 

だがしかし、女性が書いた潜入物もたくさんある。

 

日本なら、作家の幸田文が芸者置屋の女中として働き『流れる』を書いた。フランスのシモーヌ・ヴェイユは『工場日記』を著し、アメリカのフェミニストであるグロリア・スタイネムは『プレイボーイ・クラブ潜入記』を書いた。日本において、明治から昭和にかけて、女性記者による潜入取材が広く行われていた事実は『明治大正昭和 化け込み婦人記者奮闘記』に詳しい。

 

今日の日本で、女性ジャーナリストが真っ先に潜入すべきは、エステ業界ではなかろうか。

 

「全身脱毛6カ月0円」などという広告は、怪しさの極致である。ネット通販の送料無料と比べても、エステ業界のいかがわしさは際立っている。

 

〝0円広告〟でどうやって客をおびき寄せ、どれぐらいの金を巻き上げるのか。接客マニュアルはあるのか。施術をめぐるトラブルはないのか。合法的な労働環境となっているのか。疑問は尽きることがない。

 

男性には容易に足を踏み入れることができないが、女性であれば、明日からでも働けそうなエステ業界への潜入はお勧めだ。

 

 

横田 増生

ジャーナリスト

 

※本連載は、横田増生氏による著書『潜入取材、全手法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

潜入取材、全手法

潜入取材、全手法

横田 増生

KADOKAWA

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