米国も9月、「0.5%」の利下げを決定
先月、米連邦公開市場委員会(FOMC)は0.5%の利下げを決定しました。FOMCはこのほか、年内に追加で0.5%、来年2025年に1%、再来年2026年に0.5%の利下げを実施したうえで、政策金利を中立水準付近(2.9%)に誘導する見通しを示しました。
先週金曜日に公表された9月分の堅調な雇用統計を受けて、金融市場が織り込む利下げ見通しは「後退」しましたが、それでもFEDWatchに基づけば、同日の引け時点での利下げ織り込みは上記のFRBによる見通しと「ほぼ同程度」となっています。
上記のFRBの利下げ見通しをいま一度確認すると、「今年は3回の会合で4回分の利下げ、来年は8回の会合で4回分の利下げ、再来年は8回の会合で2回分の利下げ」ということですから、ポイントは「今年の利下げ幅がかなり大きい」ということです。
パウエル議長が記者会見で何度も強調したように、米国景気が「堅調」ならば、
1.なぜ、9月の利下げ開始だったのでしょうか。→補足すれば、9月のFOMCは、11月5日の米大統領選挙までに開かれる最後のFOMCでした。
2.なぜ、利下げ幅は0.25%ではなく、0.5%だったのでしょうか。なぜ、今年の利下げ幅がかなり大きいのでしょうか。
→補足すれば、ボルカー議長が新金融調節方式を停止した1982年以降のFRBの金融政策において、0.5%の引き下げで始めたケースは、ITバブル崩壊時と世界金融危機時のみです(→2020年3月の新型コロナウイルス・パンデミック発生後にも0.5%引き下げましたが、このときは、利下げ開始時期を前年の2019年7月と仮定しています。これを含めても問題ありません)。
この点について、パウエル議長は、記者会見で4回ほどツッコまれました。ただ、返答は似通ったものであり、「(いまだ堅調な)経済を堅調に保つという、我々の強いコミットメントの表れと考えてもらっていい」と述べています。
要領を得ません。この両方を満たす答えのひとつとして、ある人は「政治」を挙げるかもしれません。