誇り高き「銀行員」じゃなくなる前に…苦節20年、年収1,000万円の49歳「出向」目前課長、“いましか買えないもの”を手に入れた末路【元メガバンカーの助言】

誇り高き「銀行員」じゃなくなる前に…苦節20年、年収1,000万円の49歳「出向」目前課長、“いましか買えないもの”を手に入れた末路【元メガバンカーの助言】
(※画像はイメージです/PIXTA)

給与は頭打ち、ポストも減少。気力の落ちた40~50代の銀行員のもとへ届くセカンドキャリア研修、通称「たそがれ研修」の通知。将来の収入減への不安から、収入を増やそうと努力した結果……。本記事では、事例とともに不動産投資の注意点について、ティー・コンサル株式会社代表取締役でメガバンク・大手地銀出身の不動産鑑定士である小俣年穂氏が詳しく解説します。

担当者との面談

翌日に担当者からセミナー参加の御礼のメールと電話があった。ちょうど希望に合う物件が出てきたので面談したいとの内容であった。期末で業務も忙しいこともあり、断りを入れようとしたが、「とても人気の物件であるため、購入するにはすぐにでも書面を入れる必要がある」とのことであったため、渋々業務終了後に面談することにした。

 

不動産業者の担当者(北田(仮名))と喫茶店で集合し、名刺も渡して挨拶を行った。北田からは「銀行員であればローンも通りやすいし、希望どおり進められますよ」との発言があったが、嘘をつくのもよくないと思い、近いうちに出向になるかもしれない旨も伝えた。

 

北田からは、「いままで同様の相談を受けることがあったが、出向してから購入検討してもローンが通らないケースが多く、銀行員であるうちに急いで購入することを勧める」と告げられた。あくまでも購入の意向を示すための書類であり、白紙撤回も可能であるため、とりあえず書面だけでも出してほしいと求められ、その場でサインをして手渡した。

 

不動産購入

1週間後に北田から事前審査が通った旨の連絡があった。源泉徴収票などの必要資料を受領したいとの要望があり、これら資料を北田へ手交のうえ、不動産業者の提携金融機関の正式審査に進むこととなった。

 

その1週間後には正式審査も決裁となり、不動産売買契約締結へと進んでいた。北田から受領した物件概要書によれば、家賃からローン返済、固都税、管理費、修繕積立金を引いて月に1万円程度手残りがあるとのこと。金利については変動2.5%と少し高いように感じたが、事業性のアパートローンの金利水準としては妥当との説明もあり、応諾することにした。

 

ローンは、本体価格2,500万円満額35年間の融資。諸経費(仲介手数料、登録免許税、印紙、ローン手数料など)の約100万円は、手元の預金から支払いを行った。

 

すでに入居者がついている中古のワンルームマンションを買ったため、購入した部屋の内覧などはできず、建物の外観を見ながら引き渡しの説明を受けて一連の手続きおよび決済が完了した。

 

 

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