(画像はイメージです/PIXTA)

不安定ながらも円高傾向が続く値動きのなか、「円安トレンド」の転換が予感される現在、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて、東京海上アセットマネジメントが解説します。

失業数は増加傾向に

9月の新規失業保険申請件数は減少に転じ、失業率低下と整合的だったものの、10月第1週の新規失業保険申請件数は25.8万件と前週(22.5万件)から大幅に増加しています(図表3)。

 

出所:Bloomberg
[図表3]新規失業保険申請件数の推移 出所:Bloomberg

 

これは、9月下旬に米南東部に上陸したハリケーン「ヘリーン」や、ボーイング社のストライキの影響によるものとみられます。

 

アトランタ連銀のボスティック総裁は8日、「米国経済の現状についてかなり楽観的だが、南東部を襲っているハリケーンによる潜在的な影響を注意深く監視していると」と述べました。当面、ハリケーンやストライキの影響を反映し、今後公表される新規失業保険申請件数はノイズが大きくなることが予想されます。これらの影響が労働市場の弱体化につながらないか、FRBは注視していくとみられます。

 

米労働省が公表した2024年9月の消費者物価指数(食料品及びエネルギーを除く、以下コアCPI)は前月比+0.31%と、市場予想(同+0.2%)を上回りました(図表4)。

 

出所:Bloomberg
[図表4]コアCPIのモメンタムを⽰す指標 出所:Bloomberg

 

この結果、FRBが注目する基調的なモメンタムを示す3ヵ月前比年率値は+3.08%と2ヵ月連続で伸びを高め、3%台に乗せています。インフレ沈静化に向けた動きは継続も、それには時間を要することを示す結果となりました。

 

コアCPIの内訳をみると、コア財は前月比+0.17%と7ヵ月ぶりにプラスに転じました(図表5)。

 

出所:Bloomberg
[図表5]コアCPI(前⽉⽐)の内訳 出所:Bloomberg

 

東海岸とメキシコ湾の港湾でのストライキなどの影響から、ウェイトの大きい中古車など幅広い品目で上昇した可能性があります。もっとも、均してみればディスインフレの動きは継続していると考えられます。

 

一方、コアサービスについては前月比+0.36%と、8月(同+0.41%)から伸びが縮小しました。特に、9月は家賃の伸びが縮小に転じたことが、コアサービスの押し下げに寄与しました。CPIの家賃に先行するジロー住宅価格指数の上昇率が縮小していることを考慮すると、今後も家賃の伸びは縮小していくことが予想されます。

 

9月の雇用統計は、市場の一部でくすぶっていた大幅利下げ観測を後退させる結果となり、11月、12月のFOMCでは、それぞれ0.25%の利下げ幅にとどまるとの見方が強まりました。

 

ボスティック総裁は10日、CPIが予想を上回った点を指摘したうえで、「利下げをいったん休止すべきかもしれない」と述べています。市場が織り込む利下げ予想に変化はないものの、今後の経済指標の結果次第では、11月の追加利下げが見送られる可能性は排除できないと考えられます。

 

 

東京海上アセットマネジメント
 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…10月第2週の「米国経済」の動き 』を参照)。

※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。

※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、東京海上アセットマネジメントのレポート『〜TMAMマーケットウィークリー(10/7〜11)~』より一部を抜粋し、再編集したものです。
【ご留意事項】
・当資料は、情報提供を目的として東京海上アセットマネジメントが作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。お申込みに当たっては必ず投資信託説明書(交付目論見書)をご覧の上、ご自身でご判断ください。投資信託説明書(交付目論見書)は販売会社までご請求ください。
・当資料の内容は作成日時点のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
・当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載された図表等の内容は、将来の運用成果や市場環境の変動等を示唆・保証するものではありません。
・投資信託は、値動きのある証券等(外貨建資産に投資する場合には、この他に為替変動リスクもあります)に投資しますので、基準価額は変動します。したがって、元本が保証されているものではありません。
・投資信託は金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。委託会社の運用指図によって信託財産に生じた利益および損失は、全て投資家に帰属します。
・投資信託は、金融商品取引法第37条の6の規定(いわゆるクーリング・オフ)の適用はありません。
・投資信託は、預金および保険契約ではありません。また、預金保険や保険契約者保護機構の対象ではありません。
・登録金融機関から購入した投資信託は投資者保護基金の補償対象ではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録