冗談じゃない!…退職金5,000万円・年金月36万円の70代“勝ち組”夫婦〈高級老人ホーム〉入居を検討→必死に止める45歳娘が抱いていた「まさかの計画」に驚愕【CFPが助言】

冗談じゃない!…退職金5,000万円・年金月36万円の70代“勝ち組”夫婦〈高級老人ホーム〉入居を検討→必死に止める45歳娘が抱いていた「まさかの計画」に驚愕【CFPが助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

老後を旅行三昧で楽しんだ70代夫婦は、あることをきっかけに「高級有料老人ホーム」への入居を検討しはじめます。しかし、45歳のひとり娘は、両親の施設入居に猛反対……いったいなぜなのでしょうか。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、具体的な事例をもとに、老後資金の“思わぬ落とし穴”について解説します。

理想の施設だったが…迷ったA夫妻がとった行動は

話に聞いていたとおり、その高級有料老人ホームはリゾートホテルのような外観と設備を備えており、スタッフの対応も丁寧で温かく申し分ありません。

 

肝心の費用については、入居一時金が夫婦で約4,500万円。また管理費や食費、水道光熱費が含まれた月額利用料が、夫婦で月45万円ほどかかります。

 

また、図書室や理美容室、カラオケ、ジムといった設備、定期的に開催されるレクリエーションやイベントについては、有料のものと無料のものがあります。日用消耗品などは、注文すれば部屋に届けてくれますが、都度費用がかかるようです。

 

施設内には診療所が開設されており、いつでも利用可能です。また介護が必要になれば、系列の施設の利用や転所対応もしてくれますが、すべて別途費用が必要となります。

 

不動産業者に尋ねたところ、夫婦が現在住んでいるマンションを売却すれば1億円ほどは手に入ると言っていたことから、「この施設を“終の棲家”にできる」と夫婦は考えています。

 

とはいうものの、愛娘があれだけ反対するのも珍しいことです。即断は避け、ここは客観的な立場で考えてもらおうと、2人は知り合いのCFPに相談することにしました。

 

「自宅で暮らす」「施設で暮らす」どちらも破産の心配はないが…

筆者はA夫妻から一連の話を聞き、2つのプランについてそれぞれ試算してみることにしました。すると、A夫婦がハワイ旅行前にもともと決めていた「海外旅行は止めて、毎月36万円以内で過ごす」という計画は、現在のマンションに住み続ければ、十分実行可能なものです。

 

他方で、見学した有料老人ホームに、現在のマンションを売却して入居した場合も、入居一時金と月額利用料だけを考えれば、夫婦が100歳になるまでは資金が枯渇することはなさそうです。

 

しかし、月額利用料以外に支払う生活費や有料イベントなどの参加費、それに加え今後介護や看護が必要になったときの支出を考えると、高齢になってから資金が枯渇しないか、さらなる精査が必要です。

 

Cさんもいうように、健康で自活できているのにわざわざ老人ホームに入居して、老後の資金を使うのは、単なる無駄使いかもしれません。また、自宅を売却してしまった場合、老人ホームの生活に飽きても、もはや戻る家はありません。

 

そこで筆者は、「いまいちど娘さんと話し合うことをおすすめします」と話しました。

 

なお、内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」によると、65歳以上の男性1,277名、女性1,400名計2,677名に“終の棲家”について尋ねたところ、次のような調査結果となっています。

 

[図表1]治る見込みのない病気になった時、最期はどこで迎えたいか? 出所:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」をもとに筆者作成
[図表1]治る見込みのない病気になった時、最期はどこで迎えたいか?
出所:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」をもとに筆者作成

 

[図表2]自分が亡くなった後、住まいをどうするか?  出所:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」をもとに筆者作成
[図表2]自分が亡くなった後、住まいをどうするか? 
出所:内閣府「令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」をもとに筆者作成

 

次ページいつも冷静な娘だったが…施設入居を必死に止めたワケ

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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