重要なのは、何のためにお金持ちになりたいのか?
「お金持ちになりたい」と願う人はたくさんいますが、「では、何のためにお金持ちになりたいのか?」への答えは人さまざまです。
スペースXの創業者で、テスラのCEОでもあるイーロン・マスクは24歳でZip2を創業、コンパックへの売却で2,200万ドルを得た後、その資金でXドットコム(のちの「ペイパル」)を創業、やはりイーベイへの売却で1億6,500万ドルという大金を手にします。
もしマスクがお金目当てで起業したのなら、このお金で贅沢三昧、人生を謳歌できますが、マスクは「世界を救う」ためにそのお金を惜しげもなく次なる事業に注ぎ込みます。
こう考えていました。
「金儲けのために悪魔に変身してしまう人間もいるが、大切なのは、そのお金を何に使うのかという目的をはっきりさせておくこと」
それから20年余り経ち、今やマスクの会社は宇宙開発と電気自動車のトップメーカーとなり、本気で人類の火星移住のために邁進しています。
大金を手にして身を滅ぼす人もいれば、贅沢三昧の日々を送る人もいます。一方にはマスクのような人もいれば、熱心に慈善事業に取り組み「オマハの賢人」と呼ばれたウォーレンバフェットのような人もいます。
バフェットは幼い頃からお金持ちになることを願い、小さなビジネスや投資に取り組んでいますが、その理由は「自立」でした。
こう話しています。
「それ(お金持ちになること)で自立できる。自分の人生でやりたいことが、それによってできるようになる。それに、自分のために働くのが一番。他人に指図されたくない。毎日、自分がやりたいことをやるのが重要だと思っていた」
バフェットはある大学での講演で学生にこう問いかけます。
「お金のためだけの仕事はしたくないでしょう? 快く思わない仕事はしたくないでしょう? 毎朝、出かけるときはワクワクしていたいでしょう?」
バフェットは若い頃から「お金を稼ぐ」ことには貪欲でしたが、稼いだお金を自分のために消費することへの興味はありませんでしたし、ましてやお金を唯一の目的とすることもありませんでした。
お金と嫉妬、欲は人間を狂わせます。大切なのは「いくら稼いだか」「どれだけお金を持っているか」を誇ることではなく、そのお金をはっきりとした目的のために使い、そして世の中のために貢献することなのです。
バフェットのルール
「お金は稼ぐ以上にどう使うのか」が難しいと知ろう。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト