11歳のバフェットが学んだ投資の教訓
ウォーレン・バフェットが初めて株式投資を行ったのは11歳の時です。手元には120ドルのお金があり、姉のドリスを引き込んで、シティーズ・サービス・プリファードの株を3株ずつ購入しますが、購入時には38ドル25セントだった株価は一時、27ドルにまで下落します。
バフェットは毎日、ドリスから株価が下がって損失が出ていることを責められます。責任を感じたバフェットは株価が40ドルを回復した時に売却、2人で5ドルの利益を手にします。
ドリスは満足しますが、やがて同社の株価は202ドルにまで上昇したことを知ったバフェットは、のちの信条ともなる「買った時の株価に拘泥(こうでい)してはいけない」を学ぶとともに、「他人のお金を使って投資してはいけない」ことを痛感します。
理由はもし上手くいかなかった時、他人を怒らせることになるからです。以来、バフェットは「他人のお金」もそうですが、「お金を借りる」ことに慎重になります。もちろん一度も借金をしたことがないわけではありませんが、こう考えていました。
「現金の蓄えがないのに、大きな財政的義務を負うのは大きな間違いだ。私個人としては、手持ちの25%以上のお金を借りて使ったことはない。1万ドルしか持っていないのに100万ドルあったらいいなと思うようなアイデアが浮かんだ時もそうだった」
「朝目を覚まして、見知らぬ金融マンに助けを求めなければならないような立場には、絶対なりたくないだろう。そのことを私は何度も考えてきた」
「借金の道は不幸の道」というのがバフェットの考え方でした。株式投資に限ったことではありませんが、儲け話には「手持ち資金がなくても大丈夫」という甘いささやきがついてくることが少なくありません。
「現金は持たなくても大丈夫、必ず儲かるから」と証券会社などから話が持ち込まれ、もし不安に駆られて売ろうとすると、「こういう時に頑張った人が儲けるんですよ」と囁ささやかれ、その気になったものの結果的に損失を出し、借金を背負わされるというのはよくあることです。
だからこそ、バフェットに限らず、成功した投資家たちがしばしば言うのが「借金や信用はいかん。余剰資金で現物を買え」という鉄則です。
バフェットは言います。「借り入れの驚くべき効果で、ひとたび利益を上げてしまえば、(現金で投資を行うという)保守的なやり方に後戻りしようと考える人はほとんどいません」
こうした姿勢を貫いた結果、バフェットは借り入れを嫌うことによって「若干の潜在利益」を失ったかもしれませんが、資金繰りや借金返済に追われることはなく「ぐっすり眠ることができる」とバフェットは話しています。
バフェットのルール
借金や信用に頼るのではなく、余剰資金で投資することを原則にしよう。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト