バフェットが親から受け継いだ「お金ではないもの」の正体
世界には考えられないほどのお金持ちがいるもので、現在、個人資産が1,000億ドルを超える大富豪は世界に15人います。15人の資産総額は2兆2,000億ドルを超えていますから、日本の国家予算をはるかに上回る資産をわずか15人が所有しているというのだから驚きです。
これらの人たちのほとんどは企業の創業者であり、ロレアルの創業者の孫フランソワーズ・ベタンクール・メイエールを除けばいずれも一代でこれほどの資産を築き上げたわけですが、そんな中で1人だけ異色の存在がウォーレン・バフェットです。
バフェットはバークシャー・ハサウェイの経営者であり、資産の大半は同社の株式によるものですが、バフェットは同社を創業したわけでもありませんし、主力の保険会社や鉄道会社などを経営しているわけでもありません。
では、どうやってこれほどの富を手にしたのかというと、10代の頃に始めた株式投資だけで1,330億ドルもの資産を築き上げています。世界には著名な投資家は何人もいますが、株式投資だけでこれほどの成功をした人はいません。
だからこそ「世界一の投資家」とも呼ばれるわけですが、さらに驚くのはその元手も自分で稼いだという点にあります。バフェットは言います。
「莫大な遺産を遺したバフェット家の人間は1人もいないかもしれないが、何も遺さなかった者もいなかった。稼ぎを使い果たすことはなく、常に一部を貯めておいて、それでずっとうまくいっているのだ」
最近では「親ガチャ」という言い方があるように、親が裕福であるとか、親が高い地位にいることこそが成功の条件と考える人もいますが、バフェットは「両親は知的で、いい学校に行けた」ことには感謝しても、「両親から財産はもらっていないし、もらいたくもなかった」と、ことお金に関しては両親を頼ることもなければ、「もし親がお金持ちなら」などと願ったこともありません。
代わりにバフェットが親たちから受け継いだのが「使う金は入るお金よりも少なく」という倹約の精神です。これだけでも人生は案外うまくいくのです。
【バフェットのルール】
「使うお金は入るより少なく」の倹約の精神を忘れずに
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト