今週の注目点…一時的上昇か否かの分岐点は152円
では、この米ドル高・円安は今週も続き150円を超えることになるのか。今週はCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といったインフレ指標の発表が予定されています。
9月雇用統計の結果を受けて、雇用悪化トレンド終了の可能性が浮上したことに加え、インフレ懸念再燃の可能性を示す結果となった場合は、11月FOMCで利下げ見送りの見方も強まりかねず、米金利上=米ドル高を後押しする可能性があるため要注意でしょう。
テクニカルな観点からすると、7月の161円から一時140円割れまで米ドル/円が急落した中で、52週MA(移動平均線)を大きく割れた動きは、複数年間続く下落(米ドル安・円高)トレンドへ転換した可能性を示すものでした。
その場合、トレンドと逆行する一時的な上昇は52週MA(4日現在、150.2円)を大きく越えられないといった見通しになります(図表6参照)。
もう1つ注目したいチャート・ポイントは足下で152.2円の120日MAです(図表7参照)。
この120日MAは代表的な投機筋であるヘッジファンドの売買転換点と見られています。このため120日MAを大きく越えそうになると、ヘッジファンドはこれまで続けてきた円買いから円売りへ売買戦略の転換に向かう可能性があります(図表8参照)。
以上のように考えると、最近にかけての米ドル高・円安が米ドル安・円高トレンドにおけるあくまで一時的な動きか否かを考える上で、最初の大きな分岐点は152円が1つの目安ということではないでしょうか。
個人的には、まだ米ドル高・円安は一時的動きと考えているので152円は超えられないとの考えから、今週の米ドル/円の予想レンジは147~152円で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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