米雇用統計後、再び加速した円安…このまま「1ドル=150円」を超えるのか?→国際金融アナリストの回答

10月8日~10月14日の「FX投資戦略」ポイント

米雇用統計後、再び加速した円安…このまま「1ドル=150円」を超えるのか?→国際金融アナリストの回答
(※画像はイメージです/PIXTA)

円安が加速した先週の「米ドル/円」。拡大した米ドル反発ですが、米ドル高・円安は一時的な動きであるとマネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と、今週の相場の展開予測についてみていきましょう。

今週の注目点…一時的上昇か否かの分岐点は152円

では、この米ドル高・円安は今週も続き150円を超えることになるのか。今週はCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といったインフレ指標の発表が予定されています。

 

9月雇用統計の結果を受けて、雇用悪化トレンド終了の可能性が浮上したことに加え、インフレ懸念再燃の可能性を示す結果となった場合は、11月FOMCで利下げ見送りの見方も強まりかねず、米金利上=米ドル高を後押しする可能性があるため要注意でしょう。

 

テクニカルな観点からすると、7月の161円から一時140円割れまで米ドル/円が急落した中で、52週MA(移動平均線)を大きく割れた動きは、複数年間続く下落(米ドル安・円高)トレンドへ転換した可能性を示すものでした。

 

その場合、トレンドと逆行する一時的な上昇は52週MA(4日現在、150.2円)を大きく越えられないといった見通しになります(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表6】米ドル/円と52週MA(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

もう1つ注目したいチャート・ポイントは足下で152.2円の120日MAです(図表7参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表7】米ドル/円と120日MA(2020年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

この120日MAは代表的な投機筋であるヘッジファンドの売買転換点と見られています。このため120日MAを大きく越えそうになると、ヘッジファンドはこれまで続けてきた円買いから円売りへ売買戦略の転換に向かう可能性があります(図表8参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
【図表8】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2021年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上のように考えると、最近にかけての米ドル高・円安が米ドル安・円高トレンドにおけるあくまで一時的な動きか否かを考える上で、最初の大きな分岐点は152円が1つの目安ということではないでしょうか。

 

個人的には、まだ米ドル高・円安は一時的動きと考えているので152円は超えられないとの考えから、今週の米ドル/円の予想レンジは147~152円で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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