そこそこ成功させたジンギスカンを提供する飲食店
筆者はもともと消費者金融に勤めていました。現在は、公認会計士・税理士・証券アナリスト・宅建士・ファイナンシャルプランナーとして活動しています。
ここでは、筆者の税理士としての活動で目の当たりにした「税務調査」についてお話します。これまでに法人・個人併せ20回ほど担当した税務調査の経験のなかで、特に印象深かった実例を紹介します。
読者の皆さんのなかには、多くの会社の役員や経営者、個人事業主がいらっしゃると思います。自分の会社にもいつかは税務調査が入ると思っている人は多いでしょう。なかにはすでに税務調査の経験があるという人もいるかもしれません。
とはいえ、5回も6回も税務調査を経験した経営者はそういないでしょう。また、税務調査を経験したとしても、大体が税理士任せで、細かいことまではあまりご存じない経営者がほとんどではないでしょうか。
では、設立5年で初めて税務調査が入った30代の男性が経営するジンギスカン屋さんの事例をもとに、どんなところを税務署が見ているのか、解説していきたいと思います。筆者が独立する前に担当した前任から引き継いだ案件で、引き継ぎ直後に税務調査に入られました。
今回は、悪質性が高いとみなされ、会社の本社と倉庫を同時に、それも抜き打ちで朝9時に乗り込まれたケースです。税務調査は、基本的に顧問税理士へ事前に電話で知らされるものです。今回は、それだけ悪質性が高いと税務署にみなされていたため、抜き打ち調査となってしまったケースですので、普通の経営者であれば「税務調査が突然やってくるかもしれない」と、そこまで怯える必要はないでしょう。
とにかく税金を払いたくない経営者
筆者は、「税金をたくさん払って、社会に貢献する」といった崇高な考えを持つ経営者にこれまで1人たりともあったことがありません。多くの経営者は、「自分の会社を黒字にして、自分や自分の家族で贅沢したい」そんな気持ちで経営をしているでしょう。
しかし、黒字にすればするほど税金を取られます。もちろんそれも嫌でしょう。では、どうするか。やはり、
1.実際の売上を低く見せる
2.私的な支出をいかに経費に計上して、税金を安く済ませる
はっきりいってこの2点しかありません。そして、税務調査の主眼も売上を隠していないか、本来経費にならないものが経費になっていないかを見てきます。