経営規模が小さくても税務調査は入る
筆者は現在、公認会計士・税理士・証券アナリスト・宅建士・ファイナンシャルプランナーとして活動しています。もともと消費者金融に勤めていました。
ここでは、筆者の税理士としての活動で目の当たりにした「税務調査」についてお話します。これまでに法人・個人併せ20回ほど担当した税務調査の経験のなかで、特に印象深かった実例を紹介していきます。
設立4年目の不動産賃貸業
読者の皆さまの中には、会社の役員や経営者、個人事業主の方もいらっしゃると思います。そうした立場の方が「自分の会社にはいつ税務調査が入るのだろう」と考えられたことは、おそらく1度や2度ではないでしょう。そして、経営者仲間に、何年周期で税務調査が入ったか聞いたことがある方も1人や2人ではないかもしれません。さらに、「自分のところは20年間で1度も入ったことがない」、「2年前に入ったよ」といった話を聞かれた方もいると思います。
今回は、設立4年目に税務調査が入った不動産賃貸業のケースから、税務調査が入る「周期」について、解説していきます。
税務調査では基本的に「3年間分」を見られる
税務調査が入った場合、どの程度遡って調査されると思いますか? 答えは、「基本的に」と限定すると、3年です。そのため、設立や個人事業を始めて4年目になったら、税務調査がやってきても不思議ではありません。
一方で、それなりに会社の規模が大きい、もしくは悪質性の高い会社や個人事業主などであれば5年、さらには7年遡られるケースもあり得ます。
筆者が初めて担当した税務調査も、5年。調査される期間が長いだけでなく、会社の本社と倉庫を同時に、それも抜き打ちで朝9時に乗り込まれるケースでした。そのあとに担当した、創業から税務申告をしたことがない居酒屋も同じく5年。
割と税理士として独立したばかりのことでしたので、当時は「5年」が基本だとも思ったほどでした。とはいえ、基本的に税務調査は、「3年」と考えておけば問題ないでしょう。