(※写真はイメージです/PIXTA)

相続財産が不動産中心で現金が乏しかったり、遺産分割が進まず預金が凍結されたりといった理由で、相続税の支払いが期限内に困難になることは、誰にでも起こりうる問題です。こうした状況に直面した場合、どのように対応すればよいのでしょうか。本稿では、相続税の支払いが困難になる原因と、その際に取れる具体的な対策、納付資金の準備方法や遺産分割協議が進まない場合の対策について解説します。

延納のメリットとデメリット

 

延納のメリットは、なんといっても1回あたりの納税負担が軽くなることです。相続財産のうち不動産割合が75%以上であれば、最長20年の延納が認められます。

 

延納のデメリットは、支払いが終わるまで利子税が課されることです。相続税が支払えない場合には、延納の検討とともに、利子税を含めた支払い計画を立てることが必要です。

物納:不動産や株式などの現物で相続税を納付する方法

延納で分割しても現金での相続税の納付が難しい場合には、例外的に「物」で相続税を納めることが認められており、これを「物納」といいます。物納は、相続財産に限られ、相続人がもともと持っていた財産を納付することはできません。

 

物納の条件と手続き

 

物納するには、以下のすべての条件を満たすことが必要です。

 

1.延納によっても金銭で納付することが困難であり、その納付を困難とする金額を限度としていること

 

相続した金銭、相続人がもともと持っていた金銭でも納付できない場合に、物納が認められます。

 

2.物納申請財産は定められた種類の財産および順位で、その所在が日本国内にあること

 

第1順位は不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式などで、第2順位は非上場株式、第3順位は動産です。これらの優先順位に応じた日本国内にある財産で納付することが必要です。

 

3.物納にあてることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること、および物納劣後財産に該当する場合には、ほかに物納にあてるべき適当な財産がないこと

 

換金しやすい財産以外については、受付がなされません。

 

4.物納しようとする相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること

 

相続税の申告・納付期限までに申請をする必要があります。

 

物納のメリットとデメリット

 

物納のメリットとしては、現金での支払いをしなくて済むことです。また、相続財産で納付できるので、手出しが不要です。

 

デメリットは、納付した物が相続時の時価よりも低く評価されやすいこと、物納が許可された場合にも却下された場合にも利子税がかかることです。物納はハードルが高く、現実には認められるケースがほとんどありません。そのため、以下に解説する通り、相続財産を売却して現金化することを検討した方が、スムーズな可能性があります。

相続財産を売却して現金化

相続税の調達方法として最も簡単なのが、相続財産を売却して納税資金をねん出する方法です。相続税を納める前でも、財産を処分することは可能ですが、遺産分割協議などによって決まった自分の相続分のみにしか認められないので、注意しましょう。

 

不動産売却時の注意点

 

一般的に相続した財産を現金化する場合、不動産を売却するケースが多いといわれています。不動産を売却する際には、名義を被相続人から相続人に変更しなければなりません。

 

また、不動産を売却することで「譲渡所得税」という税金がかかることもあるため、それを踏まえたうえで売却価格を検討しましょう。不動産は売却まで時間がかかることが多いため、相続税の申告期限に余裕をもって売却手続きを行う必要があります。

 

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