台湾人が「日本人はいいな」と思うワケ
日本人が身柄を拘束されたときには、中国にある日本大使館や総領事館の職員が面会に来るので、台湾人の知り合いからは「日本人はいいな」と言われます。外から見れば台湾は中国とは別の国のようであっても、台湾人は中国公民と同様の扱いとなるのが興味深い点です。
※中国の司法試験を外国人は受験できません。受験を認めると、アメリカがアメリカ市民である多数の華僑に受験させて、弁護士(律師)登録させたうえで、西欧型民主主義化を認める活動を始めることが自明だからです。中国共産党指導体制を揺るがしかねないそのような選択を中国がするはずがありませんね。しかし、香港人、マカオ人はもちろん、台湾人も中国の司法試験受験資格があり、中国の弁護士になることができます(なりたい台湾人がどれほどいるかは別として)。もっとも、弁護士自治(弁護士は政府の干渉を受けない)が認められる日本と異なり、その活動は中央の司法部、各地の司法局の指導を受けることになります。
中国人富裕層の日本への移住や財産移転が始まっている
近年、北海道をはじめ日本のあちこちでリゾート地の土地建物を中国人が買いあさっている、というニュースを耳にしたことがある人も多いと思います。
それもそのはずで、ビルや土地をポンと買えるほどの中国人の富裕層が、中国本土から日本に移住したり財産を移し始めたりしているのです。その理由は、将来のことや子どもの教育のこと、米中対立や台湾有事など国際情勢のこと、中国のゼロコロナ政策など人それぞれです。
日本への旅行等を通じて、物理的距離が比較的近く、気候も治安も良く、食べ物も中国で食べるものに近く、自由を謳歌できる日本に好感を抱いて移住する富裕層が増えているのです。
日本人の中には「中国人に土地建物を買い占められると危険ではないか」と考える方も少なくないと思いますが、そうしたことが起こっている背景にはこのような事情があるのです。
ちなみに、日本の土地建物に出資することで得られるビザを求める中国人が増えてはいるのですが、全員が全員日本に移住したくてビザを得るわけではありません。
実は、「子どもをブリティッシュスクールに通わせたい」等の理由で香港への移住を目指すために、日本のビザを取得しようとしている人も多いのです。その理由は、香港では日本を含む第三国の入国ビザを持っていると、優先的に受け入れてもらえるためです。
香港では内地からの移民の受け入れを一日あたり150人に制限しており、その順番を待つ中国人が多くいるのですが、第三国のビザを保有し、なおかつ香港政府の指定する金融資産を3000万香港ドル(※約6億円)分購入すると、人数制限の枠に関係なく香港の居住権を得ることができるのです(2023年12月20日付香港BSより)。
日本のビザを取得する人が増えている背景には、こうした理由もあります。
村尾 龍雄
キャストグローバルグループ
CEO