(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。2024年9月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。

7.リート

<現状>

●グローバルリート市場(米ドルベース)は、FRBによる大幅な利下げが実施され、米景気のソフトランディング観測が高まったことから上昇しました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比+2.8%でした。また、円ベースのリターンは、為替効果がマイナスに寄与し、同+1.0%となりました。

 

●米国は、FRBによる大幅利下げを受けて投資家のリスク選好姿勢が強まったことから上昇しました。欧州やアジアは、長期金利低下や米国リート上昇を好感して上昇しました。一方、日本は、自民党総裁選で石破氏が勝利したことで先行きの利上げが警戒され、月末に下落しました。

 

<見通し>

●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。

 

●米国はFRBによる利下げ継続や景気のソフトランディングを背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に緩やかな上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。

 

グローバルリートの推移

8.まとめ

【債券】

●米国の長期金利は、債券市場における利下げの織り込みが進んでいるため、当面もみ合う動きを想定しています。ただし、FRBは今後も中立金利に向けて利下げを緩やかなペースで継続すると見込んでおり、長期金利は徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。

 

●欧州の長期金利は、ECBが追加利下げを継続すると想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。

 

●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化に向けて舵を切っていることから、追加利上げが警戒され、やや上昇すると予想します。

 

【株式】

●米国株式市場は、FRBによる利下げが開始され、米景気のソフトランディング観測が高まっていることから適温相場が続くとみています。米大統領選挙や地政学リスクの不透明感などから変動性が高まる局面が想定されるものの、米景気のソフトランディングに伴う企業業績の拡大が見込まれるため、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。

 

●日本株式市場は、円高の進展や石破新政権への不透明感が上値を抑える一方、日本の名目GDPや企業業績の拡大傾向、コーポレート・ガバナンス進展の動きは変わらず、需給面から企業の自社株買いも期待できるため、振れを伴いながらもレンジを切り上げる展開を予想します。市場では、石破新政権の政策や日本の総選挙、米大統領選など政治イベントが注目されそうです。

 

【為替】

●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBの利下げ継続と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。

 

●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。

 

●円の対豪ドルレートは、豪州の先行きの利下げや日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。

 

【リート】

●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。

 

●米国はFRBによる利下げ継続や景気のソフトランディングを背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に緩やかな上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。

 

 

石井 康之

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフリサーチストラテジスト

 

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『石破氏勝利で「急落」したが…日本株式市場、振れを伴いながらもレンジを切り上げる展開を予想【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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