5.企業業績と株式
<現状>
●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績は過去最高水準を更新しており、好調を維持しています。9月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+11.1%、TOPIXの予想EPSは同+23.7%と、いずれも2桁の伸びとなりました。
●米国株式市場は、FRBが0.5%の大幅利下げを行ったことを受けて上昇しました。FRBが今後も利下げを続け、米景気がソフトランディングできるとの見方が強まり、NYダウは最高値を更新しました。NYダウは前月比+1.8%、S&P500種指数は同+2.0%の上昇となりました。
●日本株式市場は、円高が重石となったほか、月末に自民党総裁選で石破氏が勝利したことを嫌気して急落し、前月比で下落しました。日経平均株価は前月比▲1.9%、TOPIXは同▲2.5%となりました。
<見通し>
●米国株式市場は、FRBによる利下げが開始され、米景気のソフトランディング観測が高まっていることから適温相場が続くとみています。米大統領選挙や地政学リスクの不透明感などから変動性が高まる局面が想定されるものの、米景気のソフトランディングに伴う企業業績の拡大が見込まれるため、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。
●日本株式市場は、円高の進展や石破新政権への不透明感が上値を抑える一方、日本の名目GDPや企業業績の拡大傾向、コーポレート・ガバナンス(企業統治)進展の動きは変わらず、需給面から企業の自社株買いも期待できるため、振れを伴いながらもレンジを切り上げる展開を予想します。市場では、石破新政権の政策や日本の総選挙、米大統領選など政治イベントが注目されそうです。
6.為替
<現状>
●円の対米ドルレートは、FRBが大幅な利下げを実施したことなどから上昇しました。中旬に140円割れまで上昇しましたが、月末は143円台半ばで終了しました。27日には自民党総裁選で高市氏が優勢とみられたことから一時146円台に下落後、石破氏が逆転したため142円台に急反発しました。
●円の対ユーロレートは、160円近辺に上昇しました。ユーロは、米国の大幅利下げを受けて対米ドルで上昇した一方、対円では下落しました。
●円の対豪ドルレートは、小幅に下落しました。豪州中央銀行の利下げが先になるとの見方から、豪ドルが堅調な動きとなりました。
<見通し>
●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBの利下げ継続と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。
●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
●円の対豪ドルレートは、豪州の先行きの利下げや日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。