築古物件に隠れた落とし穴
築年数が古い中古住宅には、見えないリスクが隠れています。Aさん夫妻のように、住宅購入後に予期せぬ大きな出費を防ぐため、起こりうるリスクを把握しておかなければいけません。
経年劣化による不具合
はっきりした定義はありませんが、中古住宅の購入は築年数15年前後が適しているといわれています。たしかに、築年数が古いほど住宅の価格は下がる傾向にあるため、内覧の段階で外観や内装に問題がなさそうであれば、購入を決意する人もいるでしょう。
しかし、Aさんが購入したような築30年といった築古の物件では、経年劣化により目に見えない部分でさまざまな不具合が発生する可能性があります。その分だけ多くの修繕費用がかかるため注意が必要です。
Aさんの住宅の不具合を例にあげると、原因は配管の経年劣化です。特に、2000年以前に建てられた住宅では、配管がコンクリートに完全に埋め込まれており、建物の微振動によって配管が破損する恐れがあります。
2000年以降に建てられた住宅であれば、床や梁のコンクリートに配管が通るための貫通孔があらかじめ計画されていることが多いでしょう。貫通孔の径は配管が通るために十分な大きさで設けられているため、配管がコンクリートに接することはなく破損することもありません。
想定外の出費を含んだ資金計画が必要
中古住宅を購入する際、多くの人が見落としがちなのは将来の修繕費用です。一般的に、修繕にかかる費用は住宅の広さや不具合の大きさにもよりますが、500万円前後といわれていて決して小さな金額ではありません。
また、国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、リフォームの実施状況は既存(中古)戸建住宅で52.1%、既存(中古)集合住宅では37.2%です※。このデータから、住宅購入前にあらかじめ修繕費用を含んで資金計画を考えたほうがいいといえるでしょう。
購入前にできる対策
専門家による住宅診断(ホームインスペクション)を依頼することが大事です。物件を購入する前に不具合を見つけることで、住宅購入後にかかる修繕費用がわかります。診断にかかる費用は約10万円です。予期せぬ不具合によるリスクを防ぐためにも、この費用を払うのはやむを得ないといえるでしょう。
そもそも、人生における数千万円単位の大きな買い物において、自己資金に余裕がなければ安易に住宅を購入すべきではありません。10万円程度の支払いをためらう時点で、住宅購入は考え直したほうがいいといえます。
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