物事をより良くするという意味を持つ「ハッカソン」
「アイデアソン(ideathon)」を理解するにはまず、その源流となった「ハッカソン(hackathon)」についての説明が必要となる。ここでは、ハッカソンからアイデアソンが生まれた経緯を見ていこう。
ハッカソンとは、「ハック(hack)」と「マラソン(marathon)」を組み合わせた造語である。
ITエンジニアやデザイナー、プランナー、マーケッターといった人材が集まり、それぞれが保有する技術や知識、アイデアを活かして、1日から1週間程度の短期間に集中して新たなサービスやシステム、アプリケーションを共同で開発し、成果を競い合うイベントである。
ハックやハッカーという言葉に対してはネガティブな認識もあるが、元来は「解析・改造する」「たたき切る」「切り刻む」「耕す」という意味合いがあり、システムやソフトウェアを含め、物事をより良くブラッシュアップするというニュアンスを持っていた。
1999年ごろからアメリカのIT企業、特に、スタートアップ領域を中心に始まり、旧Sun Microsystems、google、Apple、Facebookといった世界を代表するIT企業が相次いで開催したことで、広く知られるようになった。
我が国では、2011年の東日本大震災を契機に、震災復興における復興支援活動の一環として東北地域のITコミュニティが手がけたことで広く知られるようになり、その後、楽天やYahoo!JAPAN、富士通、リクルートといった大企業のほか、青森県、岐阜県、経済産業省や総務省などの行政機関による開催も報告されている。
ハッカソンの前に行うのが「アイデアソン」
アイデアソンは当初、ハッカソンの事前会議や導入部分として実施されていた。
ハッカソンでは、開発するサービスについて、参加者間でブレインストーミングといったアイデア創出メソッドを活用しながらアイデアをまとめた後に実際の開発を進めるのだが、このアイデア創出を行う前段部分のみを単独で実施するものを、ハッカソンをなぞって、アイデア(idea)とマラソン(marathon)を組み合わせた「アイデアソン(ideathon)」と呼ぶようになった。