すでに確立されている「アイデア創出手法」の活用を
前回に引き続き、アイデアソンを成功させるための運営ポイントを見ていく。
③目的に応じたアイデア創出手法の選択と組み合わせ
どうすればより良いアイデアやサービスを生み出せるのか。たとえば、すでに確立されているアイデア創出手法の活用も1つの方法である。
アイデアの拡散では、ブレインストーミング(※1)、親和図法(※2)、ブレイクザバイアス手法(※3)、バリューグラフ(※4)などが考えられる。アイデア収束では、ビジネスモデルキャンバス(※5)やカスタマージャーニーマップ(※6)などが考えられる。プロトタイピング(※7)では、ペーパープロトタイピングやストーリーテリング、スキット(寸劇)などがある。
(※1)アレックス・オズボーンによって考案されたアイデア創出手法。
(※2)テーマに関する事実や意見などを似たようなグループにまとめ、図化する方法。共通点やその背景にある問題点、グループ間の関係性などを考える際に活用される。KJ法とも呼ばれる。
(※3)アイデアが持つ前提の手段や提供価値を否定し、その対極のアイデアを生み出す方法。
(※4)アイデアの上位目的を階層的に明らかにする方法。
(※5)ビジネスモデルを9つの要素に分け、相互のつながりを視覚化するツール。
(※6)ユーザー行動を旅のアナロジーで図化し、可視化する方法。
(※7)試作品開発を指し、アイデアソンではアイデアを簡易な形で可視化することを指す。
[図表]アイデアソンを成功させる6 つのポイント
また、問題設定、課題発掘の場面では、現場や想定ユーザーの観察を取り入れることも重要となる。いずれにしても、状況に応じてさまざまな手法を組み合わせ、参加者の創造性を刺激し、新たなアイデアを生み出せるようなプログラムの設計が求められる。
実施後も参加者とコンタクトを取り、完成までサポート
④フォローアップ
アイデアソンには時間的制約があるため、その場でアイデアを完全な形にすることは現実的には難しい。イノベーションにつながる「アイデアの種」への気づきや核となる要素を「見える化」し、アイデアを具現化するためのきっかけづくりを行うのがアイデアソンの場になる。そのため、実現可能性にこだわる必要はこの時点ではない。
アイデアソンはきっかけに過ぎず、それを社会に実装していくにはフォローアップを行う必要がある。制作されたプロトタイプをブラッシュアップしたり、完成に向けて開発を継続してもらうために、参加者にコンタクトを取り、完成までサポートしていかなくてはならない。
アイデアソンで形成されるチームは、時として、イベント時だけの関係になりがちである。そのため、実際にサービスや商品として市場投入されるためには、しっかりとしたフォローアップが求められる。