今週の注目点…FOMCは「ドット・チャート」も更新
今週は18日のFOMC、20日の日銀金融政策決定会合など注目イベントが多く予定されています。ただ、やはり最大の注目はFOMCでしょう。この局面で最初の利下げが決定されるのはほぼ確実と見られますが、利下げ幅についてはまだ見方が分かれています。
また、今回のFOMCでは、メンバーの経済見通し「ドット・チャート」が6月以来の更新となります。6月時点では、政策金利のFFレートの予想中心値が、2024年末5.1%となっていました。つまり、現在5.25~5.5%のFFレート誘導目標を、2024年末に5~5.25%へ下げる=0.25%の利下げを1回実施するという見方だったわけです。
これに対して、現在の金利市場では、年末までに4.25%~4.5%へ一気に1%の利下げが実施されるとの見方が強まっています。このような見方の妥当性が試されることになるでしょう。
そのうえで、2025年末のFFレートの予想中心値が、6月時点の4.1%からどこまでの下方修正が実施されるかも注目されるところです。米ドル/円は7月頃から、金融政策を反映する日米2年債利回り差との相関関係が復活しています(図表5参照)。
このため、2025年にかけての米利下げ見通しは、米ドル/円の中期見通しを考えるうえで、1つのヒントになる可能性があります。
また、20日の日銀金融政策決定会合では、今回の政策変更はないと見られています。ただ、先週も日銀審議委員の発言を手がかりに、何度か円高に振れる場面があったように、日銀関連の材料に相場が過敏に反応する状況は変わらず続いています。
このため、今後の追加利上げ見通しなどに注目しながら、米ドル/円の値動きを荒いものにする可能性もあります。
すでに見てきたように、米ドル/円は短期的な「下がり過ぎ」、そして円も「買われ過ぎ」の懸念が出てきました。このため、米ドル/円の下落が続いた場合は、そういった「行き過ぎ」の修正をこなしながら、緩やかなものになるのではないでしょうか。
リスクは、FOMCを受けて米金利が上昇に転じた場合、米ドル/円「下がり過ぎ」、円「買われ過ぎ」の反動に注意する必要が出てくるでしょう。そうなると、9月に入ってから続いてきた米ドル高・円安への戻りの鈍い流れが変わるかが注目されます。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は138.5~143円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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