(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚後、元配偶者は相続権が失われますが、子供は引き続き親の遺産を相続する権利を持ちます。元配偶者が再婚した場合や子供の有無により、相続の状況が複雑化するのはよくあることです。本稿では、離婚後の相続権の扱いについて、子供や元配偶者が生存・死亡している場合の変化や、元配偶者の子供に財産を相続させる・させないための方法を詳しく解説します。

元配偶者の死亡後に、その親が死亡した場合

祖父母の存命中に、親が死亡した場合、子供は代襲相続によって祖父母の相続権を得ます。この原則は、離婚後も変わりません。

 

代襲相続とは、前述の通り、本来相続人となるべき人が死亡などにより相続できない場合に、その人の子供が代わりに遺産を相続すること。したがって元配偶者との間に産まれた子供は、元配偶者の死亡後に亡くなった祖父母の遺産を元配偶者と同じ割合で相続できます。

連絡がとれない相続人がいる場合

離婚後、親と離れて暮らす子供は、自身が相続人であったとしても、親が死亡した事実に気づかないことが多々あります。すべての相続人が参加しないと遺産分割協議ができないため、被相続人の再婚相手やその子供は、まずはすべての相続人に被相続人が死亡した事実を知らせる必要があります。

元配偶者との間の子供に連絡を取る方法

まずは被相続人の携帯電話や手帳、郵便物などを調べ、元配偶者との間の子供の連絡先が記されていないか確認してみましょう。

 

それでもわからない場合には、戸籍の附表で住所を調べることができます。戸籍の附表とは、新たな戸籍を作成したとき(本籍を定めたとき)以降の住民票の移り変わりを記録した書類のことです。

 

被相続人の戸籍には元配偶者との間の子供の氏名と本籍地が記載されています。もし元配偶者との間の子供が結婚などで転籍していた場合でも、転籍した旨と新たな本籍地が被相続人の戸籍に記載されるので、そこから子供の本籍地をたどって、子供の戸籍の附表を確認できます。

 

戸籍簿とセットで本籍地の市区町村が管理しているので、相続の手続きに必要な旨を伝え、直接または郵送で発行してもらいましょう。子供の住所がわかったら、手紙を出すなど連絡をとってみてください。

不在者財産管理人を選任する場合

上記の方法でも連絡が取れない場合には、家庭裁判所に申し出て「不在者財産管理人」を選任したうえで相続手続きをします。不在者管理人とは、行方不明の人や連絡が取れない人の財産を管理する人のことをいいます。不在者管理人が子供の代わりに遺産分割協議に加われば、遺産分割が可能になります。

 

また、不在者管理人を遺産分割協議に参加させる場合には、「権限外行為許可申立」という手続きをする必要があります。家庭裁判所に申請し、一定の要件を満たせば許可がなされます。

離婚後の相続対策

親同士が離婚しても、子供は相続人として両方の親の遺産を相続することができます。子供に相続させたい場合とそうでない場合に分けて、相続対策について解説します。

子供に相続させたい場合

離婚をしても子供には両親の財産を相続する権利が残ります。そのため、離婚した両親は、何もしなくても離婚前に生まれた子供に自分の財産を相続させることができます。また、その権利や法定相続分は、再婚相手との間の子供と同等です。

 

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