“ワケあり一等地”を格安で売却…納得のいかないAさん
都内の証券会社で働くAさん(41歳)は、先日父親を亡くしました。母親は数年前に逝去しており、1人っ子のAさんがすべてを相続することになります。
相続した土地の時価はおよそ8,000万円です。しかしAさんは最近マイホームを購入したばかり。加えて「まとまった相続税がかかるし、固定資産税もばかにならない」と知ったAさんは、早急に手放したいと考えました。
土地は都市部へのアクセスも良好な一等地であり、早々に売れるだろうと考えていたAさんですが、大きな誤算が生じます。それは、相続した土地が道路に面していない「無道路地」となっていることでした。無道路地のため既存建物の建て替えができないことから、希望価格では一向に買い手が現れません。
売却を依頼した不動産業者には何度も「その希望額では難しい」と言われていたものの、楽観的に考えていたAさんは大きなショックを受けました。しかし、納税は待ってくれません。仕方がないので、希望額よりも安い7,500万円で売却することにしました。
しかし、Aさんはやはり納得いきません。「相続税評価額は8,000万円だったし、1億円ぐらいで売却できると思ったのに……これじゃあ損じゃないか! 俺は損が一番嫌いなんだ!」
そこで、Aさんは知り合いの税理士である筆者のもとを訪ねました。
土地を再評価したところ、相続税評価額は“4割減”に
「相続税評価額って普通相場よりも低めに見積もられますよね? 私の土地はその評価額よりも安くしか売れなかったんですよ。これって、相続税評価額がおかしいんじゃないですか? ということは、相続税も払いすぎってことで戻ってきませんかね?」Aさんは語気を荒らげます。
筆者が冷静に話を聞くと、相続税の申告は「税理士費用がもったいない」と自ら相続税の本を購入して行ったとのこと。そこで、問題となっている土地について専門家である筆者が改めて調べてみると、相続税評価額を下げられる可能性が浮上しました。
後日、再度土地の形状等を再評価したところ、相続税評価額は約4割減の5,000万円に。差額3,000万円分についての相続税1,000万円が還付される結果となりました。「おぉ……まさか1,000万円も戻ってくるなんて。諦めずに言ってみるもんですね」と、大満足のAさんです。
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