銀行さんが言うことだから…退職金2,500万円の61歳・元公務員男性、営業マンの“熱烈勧誘”にほだされて〈新NISA〉で投資→60歳妻の「ひと言」に冷や汗のワケ【CFPの助言】

銀行さんが言うことだから…退職金2,500万円の61歳・元公務員男性、営業マンの“熱烈勧誘”にほだされて〈新NISA〉で投資→60歳妻の「ひと言」に冷や汗のワケ【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

退職金の使い道は、生活費の補填やローンの返済、自分への“ごほうび”など、使い道はさまざまです。そんななか、新NISAが話題になって以降、退職金で投資をはじめる人が増えています。しかし、なかには安易な判断を後悔してしまう人も……具体的な事例をもとに、詳しくみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

早く成果を出したい!…誠さんが手を出した“禁断の投資手法”

しかし、「もっと手っ取り早く成果が出る投資はないのか」と、引き続き毎日基準価額をチェックする誠さん。あまり大きな変化がなく、利益が出ないことにやきもきしています。そこで、妻には黙って、新NISAの口座とは別にネット証券口座を開設することに。

 

そして、以前から興味を持っていた、国内の新興企業であるB社株を100株400万円で購入しました。

 

B社株は日々の値動きが大きく、新NISAより刺激があるものの、誠さんは値動きがあるたびに一喜一憂してしまいます。

 

ある日、SNSの投稿で株価が下がったときに買い増しを行い、平均購入単価を下げるナンピン買いを知り、「これなら、手早く資産を増やせる」と思いました。

※ ナンピン(難平)買い……保有銘柄の株価が下がったときに、買い増しをして平均購入単価を下げる手法。株価が上がった場合は利益の拡大が見込める一方で、株価が下がれば損失が大きく膨らむことから、『下手なナンピン、スカンピン』という格言もある。

 

誠さんは、400万円で買ったB社株が320万円に下がったタイミングで、ナンピン買いを実行しました。

 

これにより、B社株の平均取得単価は360万円に下がり、保有株数は200株です。「これで株価が上がれば2倍の利益になるし、配当金も倍になる。いい方法を知ったな」と誠さんは思わずニンマリしてしまいました。

 

しかし……。

魔の8月5日(月)

「ナンピン買いは間違っていた」と青ざめたのは、8月5日のことです。この日の日経平均株価は、前週末比4,451円(12%)安の3万1,458円と急落。下落幅は1987年のブラックマンデーを超えて、過去最大となりました。

 

株価が下がったことから、誠さんは、「またもチャンス到来」とB社株を100株200万円で買い増し。平均取得単価を306万円に、保有株数も300株としました。

 

ところが、B社株は買付後も下がり続けます。まさに奈落の底に落ちるとはこのことです。「そういえば市役所の先輩が昔、退職金を株につぎ込んで大損した話をしていたっけな……」その晩、誠さんは一睡もできませんでした。

 

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次ページ利益が出ないまま、約1,200万円が投資に消えた

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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