露わになる高層階の脆弱性
“デメリットも存在しているので注意は必要です。そのひとつとして、まだまだ新しい物件であるため、将来的な部分で不透明なことがある、ということ。もっとも古いタワーマンションでも、築年数は20数年程度ではないでしょうか。
そのため、本格的な大規模改修はこれから行われていくことになります。もちろん修繕積立金はしているのですが、高度な技術を用いた物件であるがゆえに、どの程度の費用が必要になってくるのかデータがないという不安があります。仮に積立金だけでは足りなかった場合、その費用を割り増す必要が出てしまいます。”(THE GOLD ONLINE掲載記事より)
実際問題、武蔵小杉の浸水問題を皮切りに、負の側面が語られることも少なくない。本件、ざっと経緯をふりかえると、2019年、台風19号が列島に襲来。多摩川の水位上昇を受け逆流した水によって、武蔵小杉駅周辺が浸水した事件である。
もう5年前の話になるがいまだに語られることが多く、人々の記憶に強烈に残っている出来事と言える。
浸水したタワマンは地下3階に電気設備を設置していたため、一時的に電力がダウン。「全棟停電」という恐ろしい事態に見舞われたマンション住人は、電気も水道もエレベーターもしばらく使用できなかった。
自然災害による機能不全は何もタワマンに限った話ではないものの、緊急時、「高層住み」であることが強烈なリスクになることは間違いない。
都内某タワマン住み/保険代理店勤務の男性は「老後まで住む気ですか? もちろんないです。もし大停電にでもなったら階段のぼれないでしょ(笑)。リタイアまでは都心で豪勢に暮らして、そのあとは小さな戸建てでも買うつもりです」と編集部のインタビューで語っていた。
そのほか眺望のよさゆえに「日当たりがよすぎて暑い」、地震の際は停電のほか「揺れも気になる」といった問題が挙げられることも多い。
住まいがステータスになるのならば、高級住宅街に暮らす富裕層も一定の「視線」を浴びてしかるべきだが、やはりタワマンの比ではない。「タワマンあるある」「タワマンリスク」が常に巷で湧き続けるのは、世間に沈下する“一つの感情”の表れといえるだろうか。世相を反映する、ある意味文化的な建物。今後の行く末に注目だ。
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