相続開始から遺産である預貯金を引き出すまでの基本的な流れ
被相続人が亡くなってから遺産である預貯金を引き出すまでは、どのような流れとなるのでしょうか? ここでは、一般的な流れを解説します。
金融機関に死亡の連絡を入れる
被相続人が亡くなったら、できるだけ早期に金融機関に死亡の連絡をしてください。預金が凍結しないあいだは、ほかの相続人が被相続人のキャッシュカードを使って預金を引き出してしまう可能性があるためです。
そのようなトラブルを避けるため、被相続人の口座は早期に凍結してもらうことをおすすめします。
必要に応じて残高証明書を取得する
次に、必要に応じて金融機関から残高証明を取り寄せます。通帳を紛失している場合は残高がわからないため、残高証明の取得が必要です。
また、定期預金がある場合においては通帳や証書を見ただけでは解約によって受け取れる金額がわからないことが多いため、残高証明を取得することが多いでしょう。残高証明書は、相続人の一部のみから請求することが可能です。
相続人を確定する
残高証明書の取り寄せと並行して、相続人の確定を進めます。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、相続人が1人でも漏れた遺産分割協議は無効となってしまうためです。
相続人の確定は、戸籍謄本や除籍謄本などを取り寄せることによって行います。たとえば、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍謄本を確認することで、死亡時点での配偶者の有無のみならず、被相続人に子どもがいたかどうかや、子どもが何人いたかなどがわかります。
自分で相続人の確定をするのが難しい場合は、弁護士などの専門家へご相談ください。
遺産を洗い出す
相続人の確定と並行して、遺産の洗い出しを行います。遺産にどのようなものがあったのかがわからなければ、遺産分割協議を行うことが難しいためです。遺産を洗い出したら、一覧表にまとめておくと遺産分割協議の参考としやすいでしょう。
被相続人が一人暮らしであった場合や、被相続人と同居していた者の協力が得られない場合など、遺産の洗い出しが難しい場合は弁護士などの専門家へご相談ください。
遺産分割協議をする
相続人と遺産の確定ができたら、遺産分割協議を行います。遺産分割協議は相続人全員が一堂に会して行っても構いませんし、電話などで1人ひとりから同意を取り付ける形で行っても構いません。
遺産分割協議では、どの遺産を誰が相続するのかなどについて、明確に取り決めを行います。遺産分割は「配偶者が2分の1、長男4分の1、二男4分の1」などの法定相続分で行うほかにも、相続人全員が合意できるのであれば、たとえば「配偶者が全財産を相続する」など偏った内容で分割することも可能です。
ただし、遺産分割協議を成立させるには、相続人全員による合意が必要です。協議内容に合意しない相続人が1人でもいる場合は、協議を成立させることができません。
そこで、遺産分割調停を申し立てるなどして解決を図ることとなります。遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が意見を調整する形で進行する話し合いです。当事者間で遺産分割協議がまとまらない場合は、弁護士へご相談ください。
遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議がまとまったら、合意した内容を記載した遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、各遺産を誰が相続することになったのかが明確にわかるように記載してください。
自分で作成することが難しい場合は、弁護士などの専門家に作成してもらうことも可能です。作成した遺産分割協議書には、相続人全員が署名と実印での押印を行います。
金融機関から手続書類を入手する
被相続人の預貯金を解約するには、遺産分割協議書のほか、その金融機関独自の書類が必要となることが一般的です。そのため、遺産分割協議書の作成と同時進行で、手続き先の金融機関から手続き書類を入手しておきましょう。
払い戻しの手続きをする
遺産分割協議書など必要書類がそろったら、金融機関で払い戻しや解約の手続きを行います。
解約の手続きは金融機関の窓口に出向いて行うことが多いものの、郵送で手続きができる金融機関も近年増えています。具体的な手続き方法は金融機関によって異なるため、あらかじめ手続き先の金融機関に確認しておくとよいでしょう。
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