ステージ4の膵臓がん→原発不明がんへ、まさかの診断変更…〈抗がん剤治療〉が不可能となった森永卓郎氏に医師が伝えた「思いがけないひと言」

ステージ4の膵臓がん→原発不明がんへ、まさかの診断変更…〈抗がん剤治療〉が不可能となった森永卓郎氏に医師が伝えた「思いがけないひと言」
(※写真はイメージです/PIXTA)

昨年末に膵臓がんであることを公表した、経済アナリストの森永卓郎氏。しかし、再検査の結果、膵臓がんではなく、「原発不明がん」へと診断が変わる衝撃の事態に……。今回、森永氏の著書『がん闘病日記』(三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売)より、現在も精力的に執筆活動を継続する森永氏が、原発不明がんへと診断変更されるまでの経緯や、変更後の治療法について、見ていきます。

がん細胞軍団 VS 免疫細胞軍団

私は医学の専門家ではないので、あくまでもイメージとしてとらえてほしいのだが、私の頭のなかでは、がんという病気は、次のようなものとして整理されている。

 

人間の体のなかでは、新陳代謝のために、古い細胞のデータをコピーして、新しい細胞が作られる。その際、まれにコピーミスが起き、本来と違う細胞が生まれてしまう。それが、がん細胞だ。

 

がん細胞は、毎日、誰の体にも数多く生まれているが、それが問題になることは少ない。体のなかに存在する免疫細胞ががん細胞を攻撃し、消滅させてしまうからだ。つまり、体の中では、つねに免疫細胞軍団とがん細胞軍団が対峙し、ふだんは免疫細胞軍団のほうが優勢なのだ。

 

ところが、なんらかの理由で免疫細胞軍団の力が弱まってくると、がん細胞軍団が一気呵成に攻めてくる。

 

がん細胞は、武器として泥団子を持っており、それを免疫細胞軍団にぶつけてくる。泥を浴びた免疫細胞は身動きができなくなり、がん細胞軍団が優勢になる。それががんの発病だ。

 

オプジーボは、免疫細胞が浴びた泥を洗い流す役割を持っている。泥がなくなって身動きがとれるようにして、再びがん細胞軍団との戦いの舞台に戻していくのだ。

 

免疫細胞軍団が、どれだけの力を持つのかは、軍団を構成する兵士の「健康度」にかかっている。

 

だから、野菜中心のヘルシーな食事をとったり、体温を上げたり、健康によいライフスタイルですごすと、免疫細胞軍団の健康度が上がり、力を強めることができるのだ。

 

もちろん健康度をどう高めたらよいのか、適合する対策は、兵士の個性によって異なる。だから、健康度を上げる治療法というのが、議論百出になってしまうのだ。

 

ただ、ひとつだけ付け加えておきたいのは、ある医師が「免疫力の3割は患者の気持ちだ」と断言していることだ。

 

「ダメだ、ダメだ」と言って暗くなっていると免疫はどんどん落ちていく。漫画『SLAMDUNK』の安西先生は「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」と言ったが、そのとおりなのだと思う。だから、がん治療のアドバイスで、精神面を強調することは、それなりの根拠があることなのだ。

 

もちろん、精神を鍛えるだけでがんは克服できない。その意味で、治癒できるかは別にして、免疫細胞軍団のおよそ半数に効果を及ぼすとされているオプジーボは、画期的な治療薬なのだと思う。ただ、そのコストは相当高い。

 

当初、オプジーボはとても高価な治療薬だった。平均投与期間は5カ月程度と言われるが、総コストが数千万円にも及んでいた。いまは薬価が大幅に下がったが、それでも5カ月間の投与で、300万円程度の医療費がかかる。それが保険診療ということになれば、負担はケタ違いに小さくなる。

 

 

森永卓郎

経済アナリスト

獨協大学経済学部 教授

※本連載は、森永卓郎氏による著書『がん闘病日記』(フォレスト出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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