元夫がクズで関わりたくない…民法改正で取り立てやすくなるも、7割が「養育費未払い」。日本の母子家庭の異常事態【弁護士が解説】

元夫がクズで関わりたくない…民法改正で取り立てやすくなるも、7割が「養育費未払い」。日本の母子家庭の異常事態【弁護士が解説】

養育費を元夫から受け取っていないという母子家庭は7割にもおよびます。養育費を支払ってもらえない場合、どのような対応を取ることができるでしょうか? 本記事では、養育費未払いの現状と未払いを解消するポイントについて、Authense法律事務所の離婚問題に精通する白谷英恵弁護士が詳しく解説します。

養育費に関する取り決めの注意点

養育費は、子として受けるべき当然の権利です。では、養育費をきちんと支払ってもらうために、どのような対策を取ることができるでしょうか?

 

離婚時に養育費の取り決めを行う

離婚後、養育費を払ってもらうには、離婚する際に「きちんと養育費の取り決めをする」ことが必須です。養育費の約束をしていなければ、相手の方から養育費を払ってくることはほとんど期待できないからです。離婚時、子どもの親権者を決めるときに一緒に養育費の金額や支払方法も決めましょう。養育費の金額は、支払う側と支払いを受ける側の収入のバランスや子どもの人数、年齢によって異なります。こちらの家庭裁判所の算定表が参考となります

 

養育費についての合意書は「公正証書」にする

養育費について話し合いをして取り決めたら、必ずその内容を「合意書(書面)」にしましょう。口約束では、払ってもらえなくなる危険性が極めて高くなるからです。また、単なる当事者間で作成した合意書ではなく「公正証書」にすることを強くお勧めします。公正証書とは、公証役場で公証人に作成してもらう公文書です。


公正証書にすると(不履行があった場合に直ちに強制執行に服する旨の強制執行認諾文言が明記されている場合)、相手が不払いを起こしたとき、すぐに相手の給料や預貯金などを差し押さえることができます。特に相手が会社員や公務員の場合、給料を差し押さえるとその後は会社や自治体などから差押え分を直接払ってもらえるので、相手による不払いを心配する必要がなくなります。

 

離婚公正証書を作成するには、合意した養育費やその他の離婚条件を公証人へ伝え、「これを離婚公正証書にしてください」と言って申込みをします。すると、公証人が案文を作成し、それを当事者双方で確認したうえ、日時を決めて当事者2名が公証役場に行き、署名押印をすれば離婚公正証書が完成します。

 

公正証書の作成には合意内容の財産的価値に応じた手数料が必要です。養育費や財産分与まで含めた離婚協議書の場合、数万円の費用が必要となる場合があります。公証役場に行ったり書類を集めたりする手間もかかりますが、後に養育費を確実に回収できることを考えれば費用や手間に見合う価値があります。必ず作成しましょう。

 

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