元夫がクズで関わりたくない…民法改正で取り立てやすくなるも、7割が「養育費未払い」。日本の母子家庭の異常事態【弁護士が解説】

元夫がクズで関わりたくない…民法改正で取り立てやすくなるも、7割が「養育費未払い」。日本の母子家庭の異常事態【弁護士が解説】

養育費を元夫から受け取っていないという母子家庭は7割にもおよびます。養育費を支払ってもらえない場合、どのような対応を取ることができるでしょうか? 本記事では、養育費未払いの現状と未払いを解消するポイントについて、Authense法律事務所の離婚問題に精通する白谷英恵弁護士が詳しく解説します。

高校卒業までにかかる教育費

子の養育や監護には、大きな費用がかかります。文部科学省の調査によれば、幼稚園から高校まですべて公立に通った場合にトータルでかかる教育費の平均額は約540万円、すべて私立に通った場合の平均額は約1,830万円です。これはあくまでも教育のみにかかる費用であり、食費など生活のためにはこれとは別で費用がかかりますので、これを踏まえて適切な養育費を受け取っておきましょう。

民事執行法改正の影響

令和2年4月1日、改正民事執行法が施行されました。民事執行法とは、養育費など支払うべきお金を支払わない相手の財産を差し押さえる手続きなどについて定めた法律です。この改正により、未払いの養育費の支払いを受けられる可能性が高まっています。


その理由は、次のとおりです。

 

財産開示手続が改正された

養育費を差し押さえるための準備段階として、相手の財産がどこにあるのか(どの銀行に預金があるのかなど)を調べる必要があります。この財産の状況を相手に開示させる手続きが財産開示手続きです。


財産開示手続き自体は従前からあったものの、仮に嘘の申告をしたり裁判所からの呼び出しを無視したりしたとしても、30万円以下の過料が科されるのみでした。そのため、制度の実効性が疑問視されていたところです。これを受け、今回の改正で、嘘の申告や裁判所からの呼び出しを正当な理由なく無視する行為などについての罰則が引き上げられました。


改正法施行後に適用される罰則は、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金です。懲役の可能性もある重い罰則が科されるため、財産開示手続きの実効性向上が期待されています。

 

第三者からの情報取得手続が新設された

今回の改正により、第三者からの情報取得手続きが新設されました。これは、裁判所を通じて金融機関や市町村、日本年金機構などの第三者から、債務者の財産や勤務先などについての情報提供を得ることができる制度です。これにより、相手の勤務先や預金のある金融機関などの調査がしやすくなりますので、強制執行をしやすくなる効果が期待されています。

 

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