娘と孫の帰省を素直に喜んだ老夫婦だったが…
現在75歳のAさんと、71歳の妻Bさんは、近所でも評判の“仲良し夫婦”です。高校を卒業後、定年まで地元の新聞社に勤めていたAさんと、忙しいAさんを専業主婦として支えていたBさん。ふたりの年金はあわせて月に約24万円で、貯蓄は1,000万円ほど。特別贅沢をすることもなく、金銭的にはなんの不自由もない平穏な老後を過ごしていました。
ある年の夏休み、8歳で小学校2年生の孫D君と、39歳の長女C子さんが帰省してきました。
C子さんは、実家から車で約2時間のところにある政令都市に住んでおり、夫と3人暮らしです。夫の実家は裕福な家庭で、夫の父親が所有する賃貸マンションの1室に家賃を払うことなく住んでいます。
Bさん「いらっしゃい。よく来たわね。あれっ、夫君は?」
C子さん「あぁ、なんか最近仕事が立て込んでいるらしくて……」
これまでは毎年C子さんの夫がC子さんとD君を送ってくれていましたが、今年は仕事が忙しいらしく、2人だけで帰ってきたそうです。
A夫婦は長女と孫の帰省を素直に喜んで一緒に夏を満喫していましたが、お盆を過ぎたあたりから疑問を抱くようになります。というのも、もうすぐ夏休みが終わるというのに、一向に帰る気配がないのです。
夫婦は「いつまでいるんだろう……家に帰らなくて大丈夫なのかな?」と、徐々に心配する気持ちが強くなっていました。
Aさんから「なにかありそうだけど、C子も俺のいる前では話しづらいだろう。それとなく事情を聞いてくれ」と頼まれたBさんは、Aさんが町内の寄り合いに出かけて、孫が寝た後のリビングで、思い切って話を切り出しました。
Bさん「お父さんもお母さんも、C子とDさえよければいつまでだって居てくれても良いんだよ。だけど、現実問題としてDの学校も始まるし、そういうわけにはいかないでしょう。いったいいつ向こうに戻るの?」
すると、C子さんは涙ながらに経緯を話し始めました。
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